Launch Padの第1位、店舗の空きスペースをコインロッカーに変える「ecbo cloak」に

12月12日〜13日にかけて石川県・金沢市で開催中の招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2017 Fall in Kanazawa」。13日午前にはピッチコンテスト「Launch Pad」が行われた。予選を通過した12社のスタートアップが、1社6分のプレゼンテーションに望んだ。1位となったのは店舗の空きスペースなどを荷物置き場として利用できるecboの「ecbo cloak」だった。2位は東京ロケットの「助太刀くん」、3位はカバーの「hololive」、4位はZEALSの「fanp」、5位は空の「ホテル番付」だった。登壇企業とサービスの概要は以下の通り。

東京ロケット「助太刀くん

建築業者と職人をマッチングするサービス。職種と地域を設定すれば、職人に最適な現場の情報がプッシュされる。セブン銀行とも連携。11月29日にiOS版のサービスを開始しており、現在1000人以上の職人が登録。初日に有料プラン契約、2日目にマッチングが成功しているという。建設業では、職人の職種が70種類、また職人を囲い込む商慣習があり、その課題解決のためにサービスを生み出した。無料サービスと月額1980円の有料サービスを提供。今後はペイメントや、その信用スコアを元にしたサービスも展開予定。

matsuri technologies「nimomin

2018年6月から始まる民泊新法では、民泊での物件利用が年間180日までに制限されている。そのため、民泊オーナーは撤退や民泊破産の危機にあるという。nimominはその残り民泊利用が制限された半年間(185日)の物件をマンスリーマンションとして提供するサービス。民泊オーナーがAirbnbのアカウントを使って物件を登録すれば、マンスリーマンション事業者が専用サイトにて、条件に合った物件を検索できる。Airbnbと連携し、公式APIを利用している。現在7500室が登録していくという。今回、自社APIも公開。プラットフォーム化を進めるという。

空「ホテル番付

ホテルの料金決定を支援するサービス。ネット上にホテルが公開している料金と部屋数をもとに各ホテルの売り上げランキング、売れ行き、競合ホテルとの稼働率の比較を算出。現在1000のホテル情報を閲覧可能。空はホテルの料金決定支援サービス「Magic Price」(月額3万円)を提供しているが、ホテル番付から送客することでマネタイズを進めるという(ホテル番付自体は月額無料〜1万円で提供)。今後はホテルに限らず幅広い領域での料金決定支援サービスの展開を検討しているという。

ecbo「ecbo cloak

店舗の空きスペースなどを荷物置き場として利用できるサービス。国内のコインロッカー数は現在22万個だが、ニーズを考えるとあと30万個は足りない状況。その解決を目指すがecbo cloakだ。ユーザーはスマホで預けたいエリア、店舗とスケジュールを選択。店舗側は荷物の写真を撮ればサービスは完了。支払は事前に登録したクレジットカードで行う。バッグサイズで1日300円、スーツケースサイズで1日450円。保険で20万円までを補償するという。現在はJR東日本とも連携。東京駅でもサービスを利用できる。プレゼンでは、今後はボタン1つで荷物の配送ができる「ecbo delivery」を展開することを発表した。

あいりぺ「MAIZOKIN

引き出しに眠った「埋蔵ケータイ」は合計1.7兆円規模とも言われているが、MAIZOKINはそんなケータイを買い取りするサービス。買取サービス自体はほかにもあるが(同社いわく、古い端末までをターゲットとしている直接的な競合はいないとのこと)、このサービスのポイントは、データの完全消去と、過去に撮影した写真をアルバム化できること。買取のフローは、売りたいフィーチャーフォンやスマートフォンの種類を選択し、写真を撮影すれば、すぐに買取価格が提案される。価格に同意すればあとは端末を送ればいい。サービスは2018年4月リリース予定だが、現在はLINE上での買取サービスを展開している。

FutuRocket「HACKFON

既存のアナログ電話機をIoTリモコンに変えるデバイス。ダイヤル信号をデジタル化し、サーバに送信することで、スマート家電を操作したり、Amazon ダッシュボタンとして利用したりできる。スマートフォンアプリとは異なり、12個の物理キーを組み合わせて使うことができるため、子どもから年長者まで幅広く利用できるのがウリ。本日よりクラウドファンディングを展開。将来的にはホテルや工場などの法人向け展開を検討している。

OQTA「OQTA
スマートフォンでハトを鳴かせることができる「IoT鳩時計」。コミュニケーション手段に言語でなく、音を使うことで、「言葉では伝えることができない愛情を届けることができる」とアピールする。最大8人で1つの鳩時計を操作できる。実機のデモではハトの鳴き声で会場の笑いを誘った。ちなみにハトの鳴き声は電子音ではなく、“こだわりのふいご”だそうだ。現在クラウドファンディングサービスの「MAKUAKE」にて購入可能。ビジネスモデルは「現在考え中」とのことでパートナーを募集しているとのこと。

カバー「hololive

キャラクターに会えるライブ配信サービス。センサーやVR用コントローラーを使ってキャラクターを操作し、その映像をユーザーに配信することが可能。キャラクターはセンサーで体の動きと同期するだけでなく、ボタン操作で表情を変えることも可能。ライブ配信サービス「17 Live」で配信した際には、台湾を中心に同時視聴者数2.6万人を記録した。今後はVRだけでなく、ARでのライブ配信も予定する。ビジネスは課金とアニメ等のプロモーション利用を想定する。今後は中国市場もターゲットにサービスを展開する。同社はHTCのアクセラレータープログラムの「Vive X」にも採択されている。次期バージョンのサービスでは顔認識に対応し、スマートフォンでの配信を行っていくという。

EXPVR「BE THE HERO

現状のVRゲームは自由に動き回れず、コントローラーで指定した位置にワープすることがほとんど。これは移動時の「酔い」があることに由来する。同社が開発するのは「酔わない移動システム」。これまで合計10の移動方式を開発しているという。これを元にして開発したのがVRゲームのBE THE HEROだ。現在は、腕振りによる「ランニング」で移動し、敵を倒すという忍者のゲームを提供しているが、今後は魔法少女、ダークヒーローのゲームも提供するという。太平洋標準時間の12月13日よりアーリープロトタイプ版を提供する。今後は2018年2月にアーリーアクセス版、2019年1月には正式版をリリースする予定だという。

リンクライブ「Stock

チャットツールは便利だが、情報が流れていく「フロー」なツール。Stockは、「ストック」型の情報を共有できるサービスになる。EvernoteライクなUIでテキスト入力、ドラッグアンドドロップによる画像挿入などをすれば、更新日などの順番でノート(情報の単位)をストックし、閲覧・編集することができる。ノートに対してタスクを設定することができるほか、ノート単位でのチャットが可能。9月にベータ版をローンチし、中小のチームを中心に1200以上のチームで利用されている。サービスは月額無料と、840円の有料版を用意する。

Laboratik「A;

「管理しないマネジメントツール」をうたうスマートボット。Slackにこのボットを導入することで、コミュニケーションの内容を判断。メンバーごとの会話量や、感情のネガ・ポジ、重要な情報のストックなどができる。これを使うことでコミュニケーションの偏りをなくしたり、ネガティブな投稿の多く、疲れの見えるメンバーの休息促進などができる。2月にベータ版をリリース。現在は日米700社が利用している。料金は無料版から1ユーザーあたり500円のスタンダードプラン、料金応相談のエンタープライズプランを用意。今後は連携するコミュニケーションサービスを拡大していく。

ZEALS「fanp

インフィード広告からランディングページに来たユーザーは、そのプロダクトの潜在ユーザーであり、すぐにコンバージョンできず、CVRが上がらない(0.8%程度)という。fanpでは、インフィード広告をクリックすれば、直接メッセンジャーが立ち上がり、ボットを使ったコミュニケーションによって、プロダクトの紹介などができる。メッセンジャーから離脱したユーザーなども、Facebook情報や会話ログの確認が可能。後日メッセージを送るといったこともできる。

 

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。