LINEが人気飲食店のネット予約サービスをひっそり開始、しかも人力で

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LINEが一部地域で、ひっそりと飲食店のネット予約サービス「LINE グルメ予約」を開始した。

「デート」や「宴会」などのシーンから最大4店舗を選び、氏名や電話番号、来店日時、人数を入力すると、オペレーターが電話予約をしてくれる。飲食店のエリアやジャンル、予算などの詳細条件も設定できる。いわば人力の予約代行サービスだ。予約完了後はLINEで通知が届き、予約の依頼から完了まで最短10分で完結するという。

人気飲食店だけを厳選

人気飲食店の予約に特化していることも、大きな特徴だ。サービスの提供にあたっては実名型グルメサービス「Retty」と提携し、人気店舗を中心に9都道府県8500店舗を厳選。Rettyの画像や口コミといった店舗情報を掲載している。

ざっと見た限りだと、食べログの評価3.5点以上の店舗が多いような印象だ。逆に言うと、大手予約サービスが対応しているチェーン店は掲載していない。掲載店舗については、すべて許諾を取得している。

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利用するには外部のアプリインストール不要で、LINEアプリから「その他>LINE App>LINE グルメ予約」を選択する。現在は試験的な「ソフトローンチ」という位置づけで、LINE公式アカウントを登録して整理番号を取得した順番に、利用開始の通知が届く。今後は段階的に利用できるユーザーを増やしていく予定だ。

LINEの飲食店予約サービスは初めてではない。2014年11月には渋谷限定で、空席情報をLINEのトーク上からリアルタイム検索できる「LINEいますぐ予約」を開始。予約希望人数をトーク上から送信すると、当日の空席店舗情報がわかるサービスだ。LINE グルメ予約は、事前の予約を受け付けている点が異なる。

あえて人力予約を採用した理由

国内の飲食店ネット予約サービスにはホットペッパーグルメやぐるなび、食べログなどのプレイヤーが参入しているが、対応店舗は大手チェーン店が中心。今年4月には飲食店向け予約台帳サービスのトレタとヤフーが機能連携し、「俺のフレンチ」をはじめとする人気店のネット予約を開始したが、電話予約しか受け付けない人気店は多い。予約システム導入の負担が大きいためだ。

店舗の負担となっているのは、オペレーション変更に伴う教育コスト、複数の予約サービスを使うことでのオーバーブッキング、キャンセルのリスクなどがあり、集客に困っていない人気店がわざわざネット予約を導入しないのもうなずける。LINEは店舗の負担をなくすために、まずは、あえてスケールが見込めない電話での予約代行という方法を採用した。

前述のとおり、LINE グルメ予約はユーザーに代わってオペレーターが電話予約を代行してくれるサービスだ。店舗側はネット予約のシステムが不要で、オーバーブッキングも回避できる。個人と紐付いたLINEを通した予約となるため、キャンセルの抑止力も働く。悪質なキャンセルを繰り返すユーザーに対してLINEは、LINE グルメ予約の利用を停止させる措置も検討しているという。

ずっと人力の予約代行を続ける?

それでは予約代行サービスをずっと続けるのかというと、そうではない。今後は、飲食店がコミュニケーションツール「LINE@」を通じて予約を受け付けたり、顧客を管理できる機能を提供する。LINEとしては、LINE@の有料アカウント(月額5400円〜)を増やす狙いがある。

もともとネット予約を受け付けていなかった店舗に、どうやってLINE@を普及させるのか。LINE グルメ予約を担当するLINEの杉本謙一氏は、「人気店でも、曜日や時間帯によっては集客のニーズはまだある」と勝算を語る。「LINE経由の予約でキャンセル抑止につながったり、予約のやりとりを簡素化できることもアピールしたい」。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。