LINEの次なる海外展開はマンガ、講談社や小学館と合弁会社設立

DeNAやLINEが大手出版社と漫画で海外に乗り出す動きが加速している。LINEは8日、講談社と小学館、電子書籍取次のメディアドゥの3社と資本業務提携し、漫画を海外配信するための合弁会社「LINE Book Distribution」を設立することで基本合意した。年内にスマホ向け漫画アプリ「LINE マンガ」のグローバル版を提供し、講談社や小学館など国内出版社の作品を英語と中国語(繁体字)で配信する。LINEは8月、gumiが手がけるゲームコンテンツを国内外に配信するために資本業務提携を締結。世界約5億人のユーザーベースを活用し、海外でのマネタイズを着々と進めている。

LINE マンガは少年ジャンプや少年サンデーなどに連載中の人気漫画100タイトル以上を毎週無料配信するとともに、約8万冊の漫画やライトノベルをアプリ経由で販売している。対象シリーズの漫画を購入したユーザーにはLINE マンガ限定スタンプをプレゼントしたり、好きな本をLINEの友だちにシェアしたユーザーにポイントを付与するなど、LINEを生かしたマーケティングができるの強みだ。

海外展開するDeNA「マンガボックス」の狙いは?

国内のスマホ向け漫画アプリで海外展開するサービスといえば、ディー・エヌ・エー(DeNA)が2013年12月に開始した「マンガボックス」が挙げられる。有名作家らが手がけるオリジナルの新連載作品を中心に、毎週無料配信している。現在は英語と中国語(繁体字)に対応し、約140の地域に展開。アプリは600万ダウンロードに上るが、外国人のユーザーは「数十万人程度」(DeNA広報部)にとどまる。

LINE マンガとの違いは、すべて無料配信していることだ。マンガボックスは連載作品を単行本化してマネタイズを図っているが、真の狙いはゲームをはじめとするマルチプラットフォームで自由に使えるIP(知的財産)を自社で抱えることにある。DeNAのゲーム事業ではスクウェア・エニックスやディズニーなどのキャラクターを使ったゲームがヒットしているが、他社のIPを使えば自社の取り分が少なくなるし、キャラクターを扱う自由度も限られる。だったら自分たちでIPを作ってしまえ、ということなのだろう。

「クールジャパン」の象徴ともされる漫画は、特にアジア圏を中心にニーズがあるにもかかわらず、海賊版が横行している状況。資金面や人材面の問題があり、日本の漫画コンテンツをグローバル展開するプラットフォームが少ないためだ。LINEとDeNAのスマホ向け漫画アプリはビジネスモデルこそ違えど、両社のプラットフォームを通じてどれだけ海外に展開できるかが注目される。


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TechCrunch Japan

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