MicrosoftがAzureの合衆国政府専用インスタンスを発表, 次期CEOに関する質問には答えず

Yammerのサンフランシスコオフィスで今日(米国時間10/7)、MicrosoftのSatya Nadellaが、同社のクラウドプロダクトAzureの合衆国政府顧客専用のインスタンスを発表した。このプロダクトはこれまで”Windows Azure US Government Cloud”と呼ばれていたもので、単独のサービスとして合衆国国内でホストされ、合衆国の国民にしか管理できない。この発表の前には、Microsoftはそのプロダクトを政府に売るための特殊な認可をもらった、というニュースが流れた。

合衆国の政府顧客用のAzureは、最近相次いで暴露された政府諜報部門の、国民に対する密かなスパイ行為などに照らすと、強烈な皮肉だ。そういう悪いことをしている政府が、自分を守るためにAzureの特別のインスタンスを必要とするなんて、ブラックユーモアだね。

もちろん、Microsoftが悪いわけではない。同社はサービスを、それを必要とする者に売りたいだけだし、政府に売るためにAzureを手直しする必要があったとしても、べつに問題はない。テクノロジに関していつも遅れてばかりいる政府部内で、クラウドの需要がどれぐらい大きいのか分からないけど、今度調べてみよう。

同じ席でNadellaはもう一つ、Skypeは再編成によりその多くのプロセスをAzureの上で動かせるようになった、と声明した。でも、たぶんいちばんおもしろかったのは、データセンターのグローバルな展開を伴うAzureぐらいのサイズのパブリッククラウドの構築費用は50から60億ドル、とNadellaが言ったことだ。相当高いハードルだ。ローカルなクラウドはもっと小額で立ち上げられるが、AWSやAzureの規模を達成するためには、“10億(billion)”のオーダーの投資が必要なのだ。しかも今後のパブリッククラウドの成長を支える、成長資金も必要だ。

Microsoftの今日の発表では、10月にHDInsight on Azureをリリースする。これはApacheのオペレーティングシステムのためのHadoopベースのサービスで、Microsoftの最近始まったばかりの、オープンソースへの傾斜の、また一つの現れだ。

今日行われたイベントは、Microsoftのエンタプライズ&クラウドグループのアップデート総合発表会(fusillade of updates and notes)と呼ばれる。Nadellaは次期CEOに関する質問をはぐらかし、Steve Ballmerは今でも”リッパに”同社のCEOだ、と言った。それを言ったあと彼は、瞬(まばた)き一つしなかった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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