Microsoftの拡張現実ヘッドセットHoloLensとアプリ制作を実際に体験してきた

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MicrosoftのHoloLens は想像以上だった。私はリリース前のMicrosoftの最新版の拡張現実ヘッドセットを試すことができた。さらに専用のアプリまで制作した。この新しいハードウェアは、昨日のBuild開発者カンファレンスでのキーノートでも紹介されたが、実際に体験したところ、Microsoftが体験できると約束していることのほとんどを確かに実感することができた。

Microsoftは開発者と私のようなメディア記者の何人かを、UnityのエンジンとVisual Studioを使って「ホログラフックアプリケーション」を作り、それをHoloLensで体験するという、濃い内容のセッションに招待した。

HoloLensでは拡張現実を体験できる。ヘッドセットを着けたままでも現実世界を見ることができ、仮想の物をその場に置いたりすることができる。Oculus Riftのように完全に仮想世界に没入するものとは異なる。HoloLensでは、実際にあるテーブルの上に現実には無い物体が置いてあるように見える。そしてそれが現実の物のように、動かしたりすることができる。

HoloLensを着けている人を傍から見ていたら、怪しい人だと思うだろう。他の人には見えない物を見て動いていたり、空中で突然クリックのジェスチャー(Microsoftがエアタッピングと呼ぶ動作)をしたり、時に感嘆の声を漏らしているだろうから。

HoloLensを実際に使用するまでは、抽象的で分かりづらい話だ。まだ少数の人しか試していないが、一旦これを身につけて使ってみると、その意味が明確に分かる。

Microsoftの1月のイベントでは、選ばれた記者の数人だけがこれを体験していた。彼らが書いた評価はとても高いものだったがそれらは大げさではなかった。

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今日、Microsoftが私たちに見せたことを詳しく伝えたい。招待された人は皆、全ての電子機器(スマートウォッチさえ)ロッカーに入れるよう言われ、Microsoftの担当者とペアを組み、HoloLens体験へと案内された。

体験者にはそれぞれ、HoloLens本体とプログラミングするためのパソコンが用意され、4人のチームメンバーが簡単なHoloLensアプリを制作するための説明を行った。最初にアプリを操作するための基本的なジェスチャーを教わった。物を選択するための動作である「エアクリック」と注視(本当に何かを見るだけ)と開発者が簡単にカスタマイズできる音声入力についてだ。

それを理解したら、Unityに事前に準備された要素をロードし、仮想空間シーンに変更を加え、それをVisual Studioにエクスポートした。HoloLensにUSB経由でアプリをデプロイする。ほんの数クリックで完了だ。

Microsoftが事前に準備した仮想空間のシーンには、スケッチブックとその上に数個の四角い積み木、それに寄りかかる2つの紙飛行機と、それらの上空に紙製のボールが2つあった。ボールは落とすと、紙飛行機にあたって跳ねる。

最初は基本となる静的なシーンから始まり、そこから徐々にそれらの物と接した時の動作を付け加えていった。ステップごとにUnityに戻って、新しい機能を付け加え、アプリをデプロイし、HoloLensを再び装着して、創作物を確認した。

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最も基本的な所で、Unity SDKではアプリが始まる時、デバイスが向けられた位置から特定の距離と高さの位置に物を置くことができる。そして、その物の場所を固定することでその周りを歩き回ることを可能にする。

その後、ボールをクリックした時に下に落ちる動きと音を付け加えた。これで、HoloLensの現実世界の物を検知し、現実と仮想世界を連動させる機能が発揮できる。仮想のボールが現実世界で落ちるのだ。HoloLensは、ユーザーがどこを見ているかを検知できるため、開発者はシーンの中に小さな3Dカーソルを表示させることができる。エアクリックや音声入力で物と接することでき、操作はとても簡単だった。

HoloLensの本領は現実と仮想世界を連動させることにある。例えば、テーブルの上の仮想の物を落下させることができる。そうするとボールはスケッチブックから転がり落ちる。ここまでは予想通りだが、さらにそのボールは現実世界にあるテーブルから転がり落ち、隣のソファーにぶつかって止まるのだ。これは驚異的なことだ。現実世界をこのようにマッピングするのはとても高度な技術だ。

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HoloLensは常にユーザーの周りの環境をスキャンし、粗いモデルを再現することで空間を検知している。そのようにして、地面がどこにあるかといったことを認識している。テーブルをテーブルとして認識しているのではないが、そこに平面があることは分かっている。他のどの物体も同じように検知している。

私は当初、他の拡張現実アプリのようにHoloLensも物が置かれている場所などを認識するために、QRコードや何かしらのマーカーを必要とすると思っていた。しかし、実際は何もなくても周りを検知することができ、好きな所に物を置くことができた。Unityの物理エンジンを使用することで、それらを自由に動かすことができる。

最後の機能として、ボールが当たると爆発する仕掛けのオブジェクトを仮想シーンに配置した。爆発すると、床に穴が空き、小川と鳥のアニメーションが現れる。これは、体験の中で最も印象的なデモであり、HoloLensのポテンシャルを感じるものだった。ボールを穴の中に落とすと、20フィート先の穴の底まで落ちて、跳ねる様子も見ることができた。

このハードウェアはとても安定感があるように感じた。以前のプロトタイプと異なり、他に何かを繋げる必要がないスタンドアローンの端末だった。頭にヘッドバンドで装着する端末は、軽くは無かったが、前後の重さのバランスが良く、重さをさほど感じさせなかった。

Microsoftは、端末の取り扱いに注意を促していたが、壊れやすいような印象は受けなかった。このヘッドセットが彼らが最終的に販売する物と同じ形状だったとしても驚かない。

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デモの中でホログラムが一定の場所に固定されていることが特に興味深かった。これを実現させるのは難しいことだ。歩いている途中に物の場所が少しでも移動すると、実在しているようには感じない。この機能が上手くできていることに私はとても感心した。テーブルから床に落ちた紙のボールを足で蹴ろうとしたほど現実味があったが、残念ながらリアルタイムでそのような行動に反応するほどまだHoloLensのアルゴリズムは素早くないようだ。

ホログラムに近づくと多少画像が揺れることもあったが、確かにそこに固定されているように見え、Microsoftがこのようなことをマーカーの類を一切使用せずに実現したことは快挙である。物を好きな場所に動かしても、動かした場所に留まるのだ。QRコードは必要ない。

このように物の位置を検知して、実現させるのにMicrosoftは、MovidiusのMyriad 2の画像プロセッシングチップを一つあるいは、複数個端末に使用しているのではないかと私は予想している。

HoloLensを使用して残念に思ったことは、視野がとても狭い範囲に限定されてしまうことだ。仮想空間の物は、自然と視界から消える相当手前で消えてしまうので、HoloLensでの体験は没入感が少なかった。私がHoloLensを体験したのは今回が始めてなので、比較することはできないが、Microsoftの最初のデモを体験した記者の中には、今回の端末で見えた仮想空間の視野は前回より狭まっていると話していた。

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しかし私は、ホログラムの透過率の低さにも驚いた。ホログラムは背景が透けて見えるような、透過率の高いものだと思い込んでいた。実際にはとても色がはっきりとしていて、ほとんど透過していなかったのだ。

今日のデモは、明らかにコントロールされた環境の中で行われたが、私が予想していたほど、コントロールされた環境ではなかった。4、5人が自分たちのホログラムを見るのにテーブルの周りに集まって自由に行き来していたが、ホログラムもその他の機能も特に問題なく動いていた。

HoloLensのセッションに、私は感嘆した。HoloLensの話を初めて聞いた時、それはまだ遠い未来の技術であり、製造段階には程遠いものだと思っていた。Microsoftが今年の初めに行った展示でも、紹介の仕方が上手かっただけで、集まった記者の目を欺いていたのではないかと疑っていた。しかし、今ではMicrosoftがHoloLensを年内に発売を開始しても不思議ではないと思うようになった。同社は依然HoloLensの発売時期と価格については公表していない。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

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TechCrunch Japan

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