Microsoft Azureの売上成長率はこのところやや低下

Microsoft(マイクロソフト)が米国時間7月18日に発表した2019会計年度第四四半期決算報告によると、同社のIaaSプロダクトであるAzureは64%成長した。大きな数字のように見えるかもしれないが実は、本会計年度全体を通して同製品の成長率は低下している。

すなわち2019会計年度の成長率は、Q1が76%、Q2が76%、Q3が73%で、最後の今四半期では64%にダウンした。成長率としては立派な数字だからレドモンドの廊下では誰もパニくっていないと思うし、大数の法則によれば、大きくなればなるほど成長は遅くなる。突出した数字は束の間なのだ。

Microsoft自身はクラウドインフラストラクチャ市場の第2位をしっかり確保しているから、束の間の突出とは言えない。Synergy ResearchのJohn Dinsdale(ジョン・ディンスデール)氏によると、成長率の低下よりもむしろ重要なのは、それでも市場全体の成長率よりは高いから、結果として同社のマーケットシェアが安定的に伸びていることだ。

ディンスデール氏はこう言っている。「Microsoftは明らかにクラウドインフラストラクチャサービス(IaaS、PaaS、プライベートクラウドのホスティング)のナンバーツーだ。AWSとの差は大きいが、その他大勢ははるか後方にいる。売上の増加率は市場全体の成長率–2016年9%、2017年11%、2018年14%、2019年Q1が16%–よりずっと高いから、マーケットシェアは徐々に増えている」。

CIS Q119

売上成長率が落ちても、今週のMicrosoftはAzureとOffice 365のサービスでAT&Tとの20億ドル(約2150億円)の契約を勝ち取った。Office 365はIaaSの市場とは無関係だが、同社が大きな顧客を獲得したことにはかわりない。

企業がワークロードをMicrosoftやAmazon、Googleなどのパブリッククラウドに移すというトレンドは、まだ始まったばかりの段階だから市場の成長率も大きい。そしてMicrosoftなどの前途には巨大な機会が待ち受けている。だから成長率がやや落ちたMicrosoftのAzureも、未来には大きな売上拡大の余地がある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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