MITのコンピューター科学研究所が性差別をテーマとする社会科学ゲームを作った

週末を、何かおもしろくて、勉強にもなって、本物の仕事をしてるみたいなもので過ごしたいなら、Chimeria:Grayscaleはどうだろう。このゲームでは、あなたが人事課(部)の人になって、社内のいろんな問題にメールで対処していく。いや、こんな説明をすると、つまんねぇとしか思えないかもしれないけど、でもそれだけではないんだ。

このゲームを作ったMITのコンピュータ科学・人工知能研究所のD. Fox Harrellが、インタビューで説明しているように、ゲームの目的は性差別という問題の微妙な側面について知ることだ。

このゲームでは、ほかの社員たちからのあなた宛のメッセージに、Fiske and Glickの社会科学モデルにあるような、さまざまなタイプの性差別の証拠が隠れている。

とくにFiske and Glickの性差別モデルを選んだのは、それが両面的性差別という問題を扱っているからだ。そんな性差別は、セクハラや性による差別など露骨で敵対的な性差別と、本当は抑圧的なんだけど善意ぶった性差別の、両方を含んでいる(だから‘両面的’という)。たとえば、彼女は自分では直せない、と勝手に想定して女性のコンピューターを直してやるようなのを、Fiskeらは“保護のふりをした父親的干渉” (protective paternalism)と呼んでいる”。

人事部(課)に初めて配属されたあなたのところに、いろんな問題が送られてくる。アドベンチャーゲームの方針選択画面のように、あなたは対応を選ぶが、それは実は、その問題の機微をよく理解してない者の対応かもしれない。

これはStanに関する注記(Note)があるから、やさしい問題だろう。みんながStanという人物を知っているのだ。

[係長のStanley Rose(Stan)が、シャイな彼女の電話番号をきみから聞いてくれ、とメールで言っている。それに対してこの図では、「それは適切でない」と答えている。Noteによると、Stanはとても気持ち悪い人物だ。]

ゲーム終了時の達成感はない。ひとつのゲームが10分から15分ぐらいだが、最後に、あなたは性差別をしていない、という認定証はもらえない。でも、いろんな状況にどう対応するかで違う結果になるから、何度もプレイしたくなるだろう。

これは社内でよくある衝突や緊張に対して、おもしろい見方を教えてくれる。短くて初歩的なものばかりだが、それらに対する社員や会社からのさまざまな対応も知ることができる。そして少なくともこのゲームは、人事の仕事も人間の仕事だ、と教えてくれる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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