MobileyeとZeekrが中国向けにレベル4の自律走行型EV製造を計画

Intel(インテル)の子会社Mobileye(モービルアイ)は、中国の自動車ブランドZeekr(ジークロ)と提携し、消費者向けの完全電動自動運転車を開発する。この車両は2024年から中国で販売され、最終的には他の市場にも展開されると、特定の国や時期を明言することなく両社は米国時間1月4日に発表した。

MobileyeとZeekrはラスベガスで開催中のテック見本市「CES 2022」でこの発表を行った。Mobileyeはまた、Ford(フォード)およびVolkswagen Group(フォルクスワーゲン・グループ)と、同社のマッピング技術を使用してそれぞれの先進運転支援システムをサポートする契約を締結したことも発表した。

計画中のZeekr自律走行車は、MobileyeのチップとZeekrの親会社であるGeely Holdings(浙江吉利控股集団)の電気自動車アーキテクチャを組み合わせ、ブレーキ、ステアリング、パワーの冗長化が図られている。同社は、その車両がどのようなものになるかは示していない(この記事で紹介しているメインの写真は、Mobileyeの技術を搭載した「Zeekr 001 EV」だ)。

今度の車両は、いわゆるレベル4、つまりL4の能力を持つことになる。この言葉は、特定の条件下で人間に代わって運転のあらゆる局面を処理できるようになることを意味する。これは、特定の道路や都心部、あるいは気象条件が理想的な場合にのみ、この技術が機能するということを意味するのかもしれない。

Mobileyeの技術には、同社のEyeQ5(第5世代)システムオンチップが6個搭載され、センサーからの受信データの処理に加え、同社ブランドの「ロード・エクスペリエンス・マップ」マッピング技術や責任感応型安全論(RSS)をベースとした運転ポリシーが組み込まれる予定だ。

Mobileyeはまた、中国での研究開発活動を拡大し、現地にデータセンターを開設し、従業員を増強する計画であることも発表した。

MobileyeとZeekrのニュースは、Alphabet(アルファベット)の自律走行技術部門であるWaymo(ウェイモ)が、中国の自動車メーカーであるGeelyと提携して、全電気式の自動運転ライドヘイリングカーを製造すると発表してから1カ月もたたないうちに発表されたものだ。両社は、WaymoのAVシステムをGeelyのZeekr車両に統合し「今後数年のうちに」米国市場で使用する予定だと述べた。

高度運転支援システムをサポートするチップで知られるMobileyeも、数年前から自動運転車技術の開発を進めてきた。カメラ、レーダー、LiDAR技術に基づく冗長なセンシングサブシステムを含む同社のフル自動運転スタックは、REMマッピングシステムおよびRSS運転ポリシーと組み合わされている。

MobileyeのREMマッピングシステムは、先進運転支援システム(ADAS)や自律走行システムをサポートするために使用できる高解像度マップを構築するために、システムオンチップを搭載した消費者やフリート車両を利用することでデータをクラウドソーシングしている。そのデータは、ビデオや画像ではなく、1キロメートルあたり約10キロビットを収集する圧縮されたテキストだ。このマッピング技術にクラウド経由でアクセスすることで、前方の走行可能な経路の最新情報をリアルタイムで提供する。

MobileyeはすでにBMW、Nissan(日産)、Volkswagenと契約を結び、ADASに使用される最新のチップ「EyeQ4」を搭載した車両でそのデータを収集している。フリート車に関しては、Mobileyeは商業オペレーターに販売するアフターマーケット製品からデータを収集している。現在では、100万台以上の車両がREMデータを収集しており、1日あたり最大2500万キロメートルを超えている。同社は、このクラウドソーシングによる匿名化された情報をすべて利用して、精密で高精細な地図のデータベースを作成し「Mobileye Roadbook」というブランドを立ち上げた。

同社は現在、Volkswagen Group との関係を拡大し、収集した地図データを同社の運転支援システム「トラベルアシスト2.5」に適用している。この提携拡大もCESで発表された。

この契約により、Mobileye Roadbookは、VolkswagenのADASの機能拡張に利用されることになる。例えば、同社によると、利用可能な場合は、目に見える車線標識のない多くの地域で車線維持のアシスト機能が提供されることになるだろう。

両社は1月4日、Mobileye Roadbookで強化されたトラベルアシスト機能が、VolkswagenのMEBプラットフォームをベースにしたVolkswagen、Škoda(シュコダ)、Seat(セアト)の電気自動車モデルでまもなく利用できるようになると述べた。

Mobileyeはまた、Fordのハンズフリー先進運転支援システム「ブルークルーズ」の将来のバージョンにMobileyeのREMマッピング技術の使用を開始することも発表している。両社は、このマッピング技術がFordのADASシステムに統合される時期については共有していない。

画像クレジット:Mobileye

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Akihito Mizukoshi)

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TechCrunch Japan

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