MongoDBがバックエンドサービスStitchを開始、AtlasはAzureとGCPに対応、そして新しいBIツールも発表

MongoDBは今週シカゴで年次デベロッパーカンファレンスを開催している。そして良い開発者会議には新しいプロダクト発表がつきものだ。MongoDBは本日(米国時間6月20日)の基調講演に於いて、現在提供しているAtlasデータベースサービスが、Microsoft AzureならびにGoogle Cloud Platformの上で動作するようになったというアップデートを発表し、また同時に2つの完全に新しいプロダクトを発表した。1つはStitchと呼ばれるもので、MongoDBデータベースの上で動作し、サービスとしてのバックエンド(BaaS)を提供して、開発者が異なるサードパーティサービスとの連携を行なうことを助けるもの。もう1つはMongo Chartsと呼ばれるもので、Tableauに似たビジネスインテリジェンス(BI)サービスであり、MongoDBデータベース内の情報をチャート化する目的に利用することができる。

多くの点で、StitchはMongoDBにとって、コアデータベースサービスから踏み出す最初の挑戦だ。MongoDBのCTO兼共同創業者のEliot Horowitzは、彼等の開発チームが、今やMongoDBのユーザーの大半が、サードパーティのサービスを組み合わせたアプリケーションを作成していることに気付いたと述べた。Stitchを使用することで、開発者たちはこれらの外部サービスに接続し、そのAPIからデータを容易に引き出してデータベースに格納することができるようになる。理想的には、たとえば、開発者は独自のセキュリティやプライバシーコントロールを構築する必要がなくなり、アプリケーションをこれらのサービスと統合するために苦労するのではなく、アプリケーションの構築に集中することができるようになる。
Stitchは、Google、Facebook、AWS、Twilio、Slack、MailGun、そしてPubNowととのプレビルド統合が行われた形で開始されるが、Horowitzが強調するように、StitchをREST APIを提供するサービスと統合することは簡単に行うことができる。

Stitchは現在、MongoDB Atlasユーザーに対するパブリックベータ版で利用可能だ。現在の利用料金は開発者たちが必要とするデータ転送量に基いている。Stitchがベータ版を終了したあとは、全てのMongoDBユーザーが同様の課金モデルでそれを利用することが可能になり、かつ同社はオンプレミス版の提供も行う予定だ。

MongoDBのクラウドデータベースサービスであるAtlasに関する新しい機能は、特に発表されなかったが、同社はユーザーたちがサービスをGoogle Cloud Platform(GCP)ならびにAzure上に展開できるようにした。この提供には随分時間がかかったが、これまで同社はリソースを、最も顧客がいるAmazon AWSプラットフォームに対して集中することを決めていたのだ。昨年6月にサービスを開始したこのサービスには、同社によれば現在「何千人ものアクティブユーザーがいる」という。そうしたユーザーの中には、例えばeHarmonyやThermo Fisher Scientificのような会社が含まれている。

新しい2つのプラットフォームのサポートが示すのは、MongoDBのようなデータベースプロダクトを必要としている企業たちが、今や代替プラットフォームを検討し、単純にAWSをディフォルトとして利用していないことを示すものだ。

MongoDBにとって、AzureとGCPのサポートを追加することは、全体的なビジョンを達成するための第1歩にすぎない。ここでのアイデアは、将来はユーザーたちが、完全に特定のクラウドにとらわれない、グローバルに分散したデータベースを展開できるようになることだ。この計画に於ける(すぐにやってくる)第2歩は、ユーザーたちが任意のクラウドの任意のリージョンに展開できるデータベースを構築できるようにすることだ。

少々驚きを伴ったが、MongoDBはまた、新しいビジネスインテリジェンス(BI)ツールであるMongo Chartsのプレビューを行なった。残念ながらこれはまだ使うことはできないが、同社の広報担当者によれば、これはこの秋に行われる、もっと大きな新規改訂の一部だということだ。ここでのアイデアは、ビジネスユーザーたちが、MongoDBインスタンスの中に保持している自分たちのデータを活用して、グラフやダッシュボードを簡単に構成できるようにしようというものだ。類似ツールと同様に、ユーザーはインタラクティブに、データをリアルタイムに探索することができる。

Horowitzによれば、他のデータベースのサポートを取り込む予定はないということだ。よってこのサービスが、TableauやMicrosoftのPower BIなどと直接競合することはない。しかしMongoDBをヘビーに使い倒している企業にとって、Mongo Chartsは唯一必要とされるツールになるのかもしれない。

Mongo Chartsの価格設定に関しては、会社がまだ決定していないと、Horowitzは答えた。

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(翻訳:Sako)

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TechCrunch Japan

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