Motusのウェアラブルセンサはプロ野球選手のバイオメカニクス測定をラボから球場に持ち込む

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野球は数字のスポーツでもある。Sabermetrics日本語wiki)のようなものが登場した現代においては、とくにそうだ。この世界に登場したスタートアップMotusは、ピッチャーのひじのストレスや、バッターのスイングの変化をバイオメカニクスを利用して測定するシステムを開発した。そして今日同社は、その高度な技術を実際にグランドに持ち込むための、5つのセンサを搭載したパッケージを発表した。

このセンサパッケージを同社は、来週ナッシュビルで行われるMajor League Baseball Winter Meetingsで披露する予定だ。このパッケージは、バッターのスイングやピッチャーの投球モーションのバイオメカニクスを計測して、スマートフォンに送る。これまで、このような機能はMotusのラボから外に出ることはなかった。

Motus sensor and smartphone app.

写真クレジット: Motus

昨年Motusが発表したセンサ1つのパックは、ピッチャーのエルボー・スリーブ(ひじまでの袖)に取り付けて、ボールを投げるときのひじのストレスを測定する。今は投手が昔以上に酷使されるので、トミー・ジョン手術(Tommy John surgery)が大流行だ。これは、投手の利き腕の内側側副靭帯(ulnar collateral ligament, UCL)の損傷を治す手術だが、正しいバイオメカニクス測定により、過度な酷使を事前に防ぐこともできる。

そう語るCEOのJoe NolanらMotusのファウンダたちは最初、投球モーションのバイオメカニクスを測定する方法を考案した。しかしそれは、選手が実際に同社のラボに来て、高度なツールやカメラで測定してもらう必要があったので、彼らはその技術をグランドに持ち込みたいと思った。複数のセンサを使えば、コーチやトレーナーや医師などが投手を定期的にチェックして、前膊、腰、上腕二頭筋のスピードなど、ストレスレベルの変化や違いをスマートフォン上で見ることができる。もはやラボの、高度な複雑装置類は要らない。

バッターに関しては、マルチセンサパックによる測定をピッチャーよりも頻繁に行って、スランプのときなどには、スイングが実際に変わったのかどうかをチェックできる。これまでは選手がビデオを見て、それをチェックしていたが、Motusのシステムを使うと変化を数字で知ることができる。

Pittsburgh Piratesでセンターを守っているAndrew McCutchenは、“自分のスイングについて知るためにMotusのラボに数年通ったが、今のモバイルシステムならバッティングケージの中や試合中でも情報を得ることができるから、すごくいい”、と述べている。

選手はセンサを、コンプレッションシャツの内側や、バッティンググラブ(バッティング用手袋)、スパイクシューズなどの中に装着できる。十分な柔軟性があるので、選手はプレイ時にセンサの存在を意識しない。

Motus sensor system showing typical sensor placement in compression shirt, gloves and cleats.

野球のチームや選手は、ほかにもいろいろなツールを使っている。センサはその一つにすぎないが、選手の状態を数字で把握できることが他にないメリットだ、と同社は自負している。

“うちのツールを使えば、選手の状態が今最高かどうかを判断できる、というようになりたい”、とNolanは語る。今は、野球以外のスポーツへの進出も、考えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

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TechCrunch Japan

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