Mozilla、強い反発を受けて暗号資産による寄付の受付を一時停止

Mozilla Foundationは、多くの人たちからの反発により、暗号資産で寄付を受け取ることを休止する。反対派の中には、Mozilla Projectの創始者もいる。

Firefoxブラウザーの開発を統括している同財団は米国時間1月6日に、暗号資産の環境への影響を議論し、暗号資産による寄付に対するこれまでの方針が「気候に関する同団体の目標に合致しているか」を検討していることを認めた。

財団はツイートのスレッドで「ウェブ技術の分散化は私達が探求すべき重要な分野であり続けるが、暗号資産による寄付に関しては、私たちがその受け入れを始めてから以降、多くのことが変化しました」と述べ、今後その検討過程のアップデートを提供すると約束している。

財団が反発にあい始めたのは、Bitcoin(ビットコイン)といったさまざまな暗号トークンでこの非営利団体に寄付をしようとする人びとを、彼らが歓迎するようになってからだ。

そのツイートに応じてMozillaの創始者であるJamie Zawinski(ジェイミー・ザウィンスキー)氏が、財団の態度に失望感を表明した。彼は「プロジェクトに関わる誰もが、この惑星を灰燼に帰すネズミ講詐欺と提携するこの決定を、心底恥じ入るべきである」と激しい言葉で言った。

このブラウザーのエンジンであるGeckoを創ったPeter Linss(ピーター・リンス)氏も会話に加わり、Mozillaに対し「前の方が良かった」と語った。

メジャーな企業や組織が、環境への懸念でビットコインに反発したり、距離を置いたりすることは、これが初めてではない。2021年5月にはTesla(テスラ)が、車両の代金をビットコインで受け取ることを保留にしたが、それは受け入れを表明してからわずか数カ月後だった。

Elon Musk(イーロン・マスク)氏によると同社は「ビットコインの採掘や取引で化石燃料、特に石炭の使用量が急増していることを心配している」そうだ。数週間後に同氏は、暗号資産の採掘に使われるエネルギーの50%が再生可能エネルギーになったら再びビットコインを受け入れるだろうと述べた。

ビットコインの環境負荷をめぐる疑問は、さまざまなトークンの作られ方と関連がある。ビットコインとイーサリアムは、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)と呼ばれる仕組みを利用して自分たちのネットワークを動かし、各通貨の新しいブロックを作り出している。その計算方法は、数年にわたって、ネットワークの成長とともに複雑化する設計であり、そのパズルを解くことに何千ものGPUを昼夜不休で動かす企業の業界を生んでいる。

Cambridge Centre for Alternative Financeの推計によると、ビットコインの採掘は毎年、約148テラワット時のエネルギーを消費している。多くの暗号資産支持者はしかし、そんな所見に反論したり、暗号資産の存在意義を主張したりしている。

数カ月前には、この業界に大きな分裂が出現してきた。批判者たちは、Web3の基本的な価値命題に異議を唱えている。しかしビットコインを支持しているTwitterの創業者Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、VCたちがWeb3のプロジェクトからほとんど利益を得ていないという説を却下した

このような議論が続く中、多くの企業がWeb3の野心を小さくしている。Discordは11月、暗号資産とNFTの探求に反対する多くの人々の反発を受け、一時停止した。ゲーム会社GSC Game Worldは、複数のゲーマーから強いフィードバックがあったため、発売予定のタイトル「STALKER 2:Heart of Chernobyl」にNFTを搭載する計画を中止している。

画像クレジット:David Tran/Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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