Mozilla、開発中の高性能JPEGエンコーダーの最新版をリリース

Mozillaが、JPEGエンコードに用いるmozjpegイメージエンコーダーの最新版をリリースした。新しいバージョンは既にfacebook.comにてテストが行われた。ちなみにFacebookはMozillaに対してプロジェクトの継続を目的として6万ドルを寄付している。

読者の方はよくご存知のことだが、ウェブで用いられている画像フォーマットといえばPNGとJPEGがほとんどを占めるという状況だ。MicrosoftやGoogleは独自フォーマットをリリースしたりということもしているが、広く利用されるようにはなっていない。GoogleはChrome利用者向けに自サイトでWebPをアピールしているが、マウンテン・ビュー外部ではほとんど利用されていないといった状況だ。

Mozillaはバージョン2.0ではベースラインおよびプログレッシブの双方で、平均5%の軽量化を行うと主張している。画像によって圧縮率は当然異なるが、最大で15%の軽量化を見込んでいる。もちろん5%に至らないものもある。最初のリリース時にはプログレッシブJPEGのみに対応していたが、今回からはベースラインにも対応してきている。

MozillaのCTOであるAndreas Galは、WebPやMicrosoftのJPEG XR、あるいはその他のロイヤルティフリーの新フォーマットは、導入の手間などを考えればJPEGにとってかわるものとなり得ないと考えている。そのようなわけで、Mozillaは最も広く利用されている不可逆圧縮フォーマットであるJPEGに注力しているわけだ。

また、写真が多く投稿されるFacebookにとってみれば、ファイルサイズを小さくすることができれば、サイトの読み込み速度があがり、帯域確保にかかる費用が安くなるという意味がある。そのような観点からFacebookはプロジェクトへの協力を行なっているわけだ。

Facebookのソフトウェアエンジニアリング部門マネージャーのStacy Kerkela曰く「Facebookは、Mozillaが見た目を犠牲にすることなく、より小さなJPEGファイルを生成するエンコーダーを構築するプロジェクトを支援しています」と述べる。「mozjpeg 2.0により、画像のオプティマイズが行えるようになり、Facebook上での交流がさらに盛んになるだろうと期待しています」とのこと。

今年はじめに最初のバージョンをリリースしたときにMozillaが言っていたように、新たなバージョンではビデオエンコーディングで用いられてきたトレリス量子化を利用している。またインプットにJPEGを用いることができるようになっていて、既存イメージの再圧縮にも活用しやすくなっている。また、各種改良作業により、既存JPEGエンコーダーとの互換性もアップしている。

Mozillaが新たなフォーマットを採用すれば、そのフォーマットが広まるきっかけとはなり得る。しかしそうした動きを生むためには、新フォーマットが既存の形式に対して明白な利点を持つことが必要だ。WebPなどがJPEGではサポートしていない機能(アニメーションなど)を持っていることは認めるものの、しかしMozillaではそうした新形式を迅速にサポートしようとは動いていない。新形式を求める努力により、進化がもたらされるであろうことはGalも認めている。しかし新たなフォーマットを求める動きはパテントによって保護されているケースも多く、Mozillaとしても積極的なサポートには動きにくい状況であるのだ。そうした中、Mozillaとしてはビデオ圧縮フォーマットのDaalaのサポートの方が先になる可能性の方が高そうだ(静止画像にも適用可能なフォーマットだ)。こちらの方はXiph.Orgとのパートナーシップにより開発中だ。

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(翻訳:Maeda, H


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TechCrunch Japan

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