Mozillaの2021年売上は約567億円超の見込み、新たな取り組みや製品がゆっくりだが確実に軌道に乗る

Mozilla Foundation(モジラ・ファウンデーション)は米国時間12月13日、2020年の財務報告書を発表した。いつものように1年前からの同社の財務状況をよく知ることができるが、2021年初めて同社はより最近のデータも提供した。

最近のMozillaが、営利部門であるMozilla Corporation(モジラ・コーポレーション)の再編にともない、2020年に大規模解雇を実施するなど、数々の困難な状況に陥ったことは周知の事実だ。主力ブラウザFirefoxも、かなりの技術的進歩にもかかわらず、Chromiumベースのブラウザが主流となっている市場で苦戦を強いられている。それでも、2020年のMozilla Corporationの売上高は、検索パートナーシップ(主にGoogleとの検索契約が牽引)、サブスクリプション、広告収入で4億6600万ドル(約528億円)となった。これは、Mozilla Corporationがこれらのソースから4億6500万ドル(約527億円)を得た2019年と基本的に同じだ。

2021年については、5億ドル(約567億円)超の売上を見込んでいる。

しかし、おそらく最も重要なことは、Mozilla VPNサービス、Firefox Relay Premium、PocketなどのMozillaの新製品やその他の商業的な取り組みが、ゆっくりと、しかし確実に成果を上げ始めていることだ。MozillaのエグゼクティブVPであるAngela Plohman(アンジェラ・プローマン)氏とCFOのEric Muhlheim(エリック・ミュールハイム)氏が12月13日の発表で述べたように、新製品の提供による売上は2021年150%成長し、2021年には売上の14%を占める見込みだ。Mozilla VPNサービスは、2020年から2021年にかけて450%の売上増となった。

それでも、2020年でのMozilla売上の86%は、Googleとの検索契約によるものだ。2019年の88%からはいくぶん下がっているが、どう考えてもMozillaはここしばらくGoogleに完全に依存していることに変わりはない。

売上源を多様化することはMozillaにとって、圧倒的なシェアを誇るChromeブラウザを展開しているために競争相手でもあり、Mozillaの全体的な哲学とはますます一致しないようになっているGoogleとの検索契約への依存度を下げる唯一の方法だ。

Mozilla FoundationのCEO兼会長のMitchell Baker(ミッチェル・ベイカー)氏は、同日の発表で次のように述べている。「広告が変化し、ウェブのビジネスモデルの将来が危ぶまれる中、私たちの価値観に合致し、当社を際立たせることのできる、新しく責任ある収益化の方法を模索してきました。Cookieの廃止とオンライン広告のエコシステムの見直しが必要だと考えてきました。そして当社は、人々を尊重しながら企業に価値を提供する、責任ある広告の新しいモデルに向けて業界をナビゲートする立場にあります。未来のための製品を作ることで、私たちは将来のためのビジネスを作っているのです」。

しかし結局のところ、Mozillaが必要としているのは、ブラウザであれVPNであれMozillaのサービスをより多くのユーザーに採用してもらう(あるいは戻ってきてもらう)ことだ。Googleの動機にユーザーがますます懐疑的になっていることや、MicrosoftのEdge チームがここ数カ月でいくつかの過失を犯していることから、非Chromeブラウザにはチャンスがある。しかし同時に、MozillaはFirefoxにスポンサー付きの提案や広告を導入するための努力をしてきたが、必ずしもユーザーに好かれているわけでもなかった。

画像クレジット: David Tran / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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