NASAが「アルマゲドン」のような小惑星軌道変更ミッションの打ち上げを11月23日に予定

NASAが、最もハリウッド的なミッションである「Double Asteroid Redirection Test(二重小惑星軌道変更実証実験)」の打ち上げ日を決定した。これは基本的に映画「Armageddon(アルマゲドン)」の予行演習だ。映画とは違って、核兵器や石油掘削機、Aerosmith(エアロスミス)は登場しないものの、これは小惑星の軌道を大幅かつ予測可能な方法で変化させることができるかどうかについての実践的なテストとなる。

惑星防衛調整局(!)が管理するこのDARTミッションでは、比較的近くにあるディディモス(Didymos)連星と呼ばれる二重小惑星に、一対の宇宙機を送り込む。この二重小惑星には、直径780メートルの大きな惑星(これがディディモス本体)と、その軌道上に直径160メートルの小さな惑星がある。

この小さい方の惑星が、地球に衝突の脅威を与える典型的な種類の小惑星(この大きさの小惑星は増えており、観測が難しい)であるため、これに約500kgの宇宙機を6.6km/sの速度で衝突させ、その軌道を変更させる可能性を試すのだ。これによって小惑星の速度はほんの数パーセント変わるだけだが、その軌道周期には大きな影響を与えることになる。それがどの程度の影響を与えられるかを正確に把握することは、いつか将来、地球への衝突を避けるために小惑星の軌道を変更させるミッションに役立つが、当然のことながら、宇宙に浮かぶ岩石に宇宙機を衝突させることに関する既存の科学はあまりない。

小惑星に衝突させるDART機に同行するもう1台の宇宙機は、LICIACube(Light Italian CubeSat for Imagine Asteroids、小惑星画像用軽量イタリア製キューブサット)と呼ばれ、先週最後の仕上げが終わったばかりだ。こちらは作戦の直前に切り離され、衝突の瞬間に飛行しながら「結果として生じる噴出物と、おそらく新たに形成される衝突クレーター」の撮影を試みる予定だ。

これが非常にエキサイティングで興味深いミッションであることは間違いないが、当初予定されていた2021年夏の打ち上げウィンドウは延期され、11月23日が新たな打上げウィンドウの初日となった。DARTは米国太平洋標準時の11月23日午後10時20分に、南カリフォルニアのバンデンバーグから、SpaceX(スペースX)のFalcon 9(ファルコン9)ロケットで打ち上げられる予定だ。

「Osiris-Rex(オサイリス・レックス)」や日本の「はやぶさ2」など、地球の宇宙機関は小惑星に手が届くようになってきた。ディディモス連星攻撃計画については、打ち上げに向けてより詳細な情報が得られるようになるだろう。

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画像クレジット:NASA

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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