NASAの超高額な月ロケットが18日に発射場へ移動

最初に発表されてから12年、NASAの巨大な「Space Launch System(スペース・ローンチ・システム)」がついに公に姿を現すことになる。この超重量級ロケットと「Orion(オリオン)」宇宙船は、米国時間3月17日に、フロリダ州ケネディ宇宙センターの発射場へ向けて搬入が開始される予定だ。遅延と費用高騰に悩まされてきた打ち上げシステムにとって、待望の進展だ。

11時間かかると予想される木曜日のロールアウト(移動作業)後、NASAはソフトウェアシステムの検証やブースターの整備など、打ち上げ準備のための多くのテストを実施することになっている。その後、NASAは推進剤を充填した「ウェット・ドレス・リハーサル」と呼ばれる一連の打ち上げ前試験を行う予定だ。Artemis(アルテミス)計画の打ち上げディレクターを務めるCharlie Blackwell-Thompson(チャーリー・ブラックウェル-トンプソン)氏は、米国時間3月14の記者会見で、予定通りにロールアウトが進めば、ウェット・ドレスは4月3日に実施される可能性があると語った。

ここまで長い年月がかかった。米国議会は2010年に、NASAの最初の宇宙輸送システムだったSpace Shuttle(スペースシャトル)に代わるものとして、SLSの開発を同局に指示した。NASAのアルテミス計画の一環として、SLSは人類を再び月に送り込み、さらに将来的には太陽系探査に向かうことも見据えた乗り物として構想されている。

しかし、それ以来、このプロジェクトは度重なる挫折と技術的な問題に直面してきた。1年前、NASAの監察官室は、SLS計画に関連するコストと契約にまつわる厳しい報告書を発表し「コスト上昇と遅延」によってプロジェクトの全体予算が当初の範囲をはるかに超えていることを明らかにした。この混乱で最大の勝者となったのは、間違いなく航空宇宙産業の主要企業だ。特にSLSの開発を指揮するBoeing(ボーイング)や、Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)、Aerojet(アエロジェット)は、監察官室によれば、2019年にSLSの全契約に費やされた総資金の71%を、これらの企業の契約が占めているという。

このようなことがすべて積み重なり、非常にコストのかかるプロジェクトになってしまった。3月初め、NASAの監査役は、最初の4回のアルテミスミッションの運用経費がそれぞれ41億ドル(約4850億円)になると報告した。4回の合計ではなく、1回ずつそれだけかかるのだ。

SLS1基の建設費はその約半分の22億ドル(約2600億円)。NASAの探査システム開発担当副長官であるTom Whitmeyer(トム・ウィットマイヤー)は、この金額について、プロジェクトは「国家的投資」であると記者団に語り、暗黙のうちに見解を示したようだ。

「私の観点から言えば、それは強力な国家的投資で、我々の経済への国際的関与である」と、同氏は語った。

SLSのコストが高いのは、第1段、第2段とも再利用できないため、それぞれのミッションに専用のロケットが必要になることも一因だ。SLSとは対照的に、SpaceX(スペースX)のElon Musk(イーロン・マスク)CEOは2022年2月、同社の超重量級完全再利用型ロケットである「Starship(スターシップ)」の打ち上げコストは、今後数年以内に1回あたり1000万ドル(約11億8000万円)以下になると推定している。SpaceXは2021年29億ドル(約3400億円)の契約を獲得した後、アルテミス計画の一環としてNASAのためにこのロケットの月着陸船バージョンを開発している。

画像クレジット:NASA

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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