NetBeez(ネットの蜂たち)は数百台のRaspberry Piがエンドユーザをシミュレートするネットワークモニタリングツール

Raspberry Piはメーカーたち*のあいだで当然のように大ヒットしたが、ここでご紹介するエンタプライズ系スタートアップは、この25~35ドルのマイコンボードを一度に数百台も使って企業のネットワークをモニタし、ネットワークの不具合の報告を無人化する。〔*: メーカー運動、参考記事(1)(2)。〕

合衆国のスタートアップであるNetBeezは4月に創業され、ピッツバーグのAlphaLabアクセラレータを最近卒業して、今ではネットワークをモニタしてアドミニストレータに問題を報告するツールを複数のRaspberry Piを使って作っている。資金は25000ドルをAlphaLabから調達したほか、10万ドルの転換社債を発行している。そして今は、シードラウンドで資金を調達中だ。

このツールの基本的なアイデアは、Piたちにネットワーク上のユーザの活動をシミュレートさせるところにある。そのことにより、実際に人間ユーザがネットワークのダウンによって不便を経験する前に、問題を検出する。Piは単価が比較的安いから。一社につき数百台をインストールして全社のネットワークのアップタイムをモニタすることも可能だ。たとえば銀行なら、すべての支店を監視するとか。ネットワーク全域のモニタリングをしても、費用は低く抑えられる。

協同ファウンダのPanagiotis Vouzisは次のように説明する: “NetBeezはネットワークに起きる変化を調べ、エンドユーザに影響が及ぶ前に接続落ちを検出する。ネットワークのダウンが起きるのは、技術者がネットワークに何かの変更を加えたあとが多い。これまでのモニタリングツールは主にルータとスイッチを見ていたが、エンドユーザのレベルでネットワークが死んでることはチェックできなかった。技術者はユーザに迷惑をかけまいとして午前2時とかに変更作業をすることが多いから、そのためにかえって、エンドユーザに及ぶ影響に関しては無知なのだ”。

“典型的には、朝の8時ごろ、最初に出社してきた社員が、やっとネットワークダウンを経験する。直るまで、仕事ができない。午前2時の変更作業に社員がつきあってチェックするのは、きわめて重要な構成変更ぐらいだ。しかしそれもまた面倒だし、経費を要し、スケーラビリティがない。しかもそのほかの変更はすべて、さっきの午前8時タイプになる”。

そこでNetBeezでは、スイッチの向こう側(==エンドユーザと同レベルの場所)にインストールされたPiが、Beezと呼ばれるモニタリングソフトを動かす。それによりネットワークを担当する技術者は、真夜中に行った構成変更の影響を、社員たちの出社前に知ることができる。

“エンドユーザのレベルで検出されるネットワークダウンにかぎっても、その症状は多様だ。通常彼らはヘルプデスクに電話をして、そこからIT部門に報告が行く。しかしBeezのRaspberry Piネットワークは、朝出社してくる人間よりも早く分散ネットワーク上の問題を発見して報告できる。しかも、ヘルプデスクは完全にバイパスする”、とVouzisは付言した。

Vouzisによると、同製品のターゲットは、複雑なネットワークを持つ大から中ぐらいの企業で、ダウンタイムを最小化する必要を抱えているところだ。5月からベータテストを行っており、著名企業3社がテスターとして参加している。

Vouzisともう一人の協同ファウンダStefano Gridelliは、元々ネットワーク技術者だ。同社のビジネスモデルは、Bee(蜂)たち(Pi)の数に応じて前金制または月額/年額の会費制となる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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