Netflixが独立系モバイルゲーム開発会社Boss Fightを買収

Netflix(ネットフリックス)は、テキサス州の独立系ゲーム開発会社であるBoss Fight Entertainment(ボス・ファイト・エンターテインメント)を買収したことをブログ記事で発表した。買収の金銭的条件は明らかにされていない。Netflixにとってこれで3件目となるゲーム会社の買収は、このストリーミングサービス企業が推し進めているゲームへの取り組みの一環だ。

Boss Fightは、Zynga Dallas(ジンガ・ダラス)とEnsemble Studios(アンサンブル・スタジオ)の元従業員によって、2013年に設立された。Netflixは、同スタジオのジャンルを超えたゲーム構築の経験が、Netflixユーザーにますます多くのタイトルを提供していくために役立つと述べている。Boss Fightのチームはダラス、オースティン、シアトルにある現在のスタジオで活動を継続していく予定だ。

「Boss Fightの使命は、プレイヤーがプレイしたい場所で、シンプルで美しく、楽しいゲーム体験を提供することです」と、Boss Fight Entertainmentの創設者であるDavid Rippy(デヴィッド・リッピー)氏、Bill Jackson(ビル・ジャクソン)氏、Scott Winsett(スコット・ウィンセット)氏は、声明で述べている。「広告のないゲームを、定額サービスの一部として提供するというNetflixの取り組みは、我々のようなゲーム開発者が、収益化を気にすることなく、楽しいゲームプレイの創造に集中することを可能にします。このような早い段階でNetflixの一員となり、自分たちの好きなことを続けながら、Netflixにおけるゲームの未来を一緒に形作る手助けができることに、私たちはこれ以上ないほどワクワクしています」。

3月初め、Netflixはフィンランドのモバイルゲーム開発会社であるNext Games(ネクスト・ゲームス)を総額6500万ユーロ(約87億円)で買収すると発表した。この無料でプレイできるモバイルゲームのパブリッシャーは、すでに「Stranger Things(ストレンジャー・シングス)」や「The Walking Dead(ウォーキング・デッド)」など、Netflixの最大の人気作に関連するタイトルを開発している。この買収は、2022年第2四半期に完了する予定だ。

また、2021年9月には「Oxenfree(オクセンフリー)」のようなストーリー重視のタイトルで知られる独立系ゲーム開発会社のNight School Studio(ナイト・スクール・スタジオ)を、Netflixは買収している。この取引の金銭的条件は明らかにされていない。Night School社の幹部は、同スタジオが「Oxenfree II」をはじめとするNight Schoolのタイトルに、引き続き取り組んでいくと発言していた。

今回の買収は、Netflixの動画カタログを補完するためにゲームコンテンツを充実させるという大きな戦略の一環である。

「私たちはまだ、Netflixメンバーシップの一部としてすばらしいゲーム体験を構築している初期の段階にあります」と、Netflixのゲームスタジオ担当バイスプレジデントであるAmir Rahimi(アミール・ラヒミ)氏は、声明で述べている。「世界中の開発者とのパートナーシップや、優秀な人材の雇用、そして今回のような買収を通じて、私たちは楽しくて深い魅力のある多彩なオリジナルゲームを、広告なし、アプリ内課金なしで、世界中の数億人の会員に提供できる、世界クラスのゲームスタジオを構築したいと考えています」。

Netflixは、2021年末に「ストレンジャー・シングス」をテーマにしたタイトルやカジュアルゲームを含む初期ラインナップを発表して以来、ゲームサービスの拡充を図ってきた。

それ以降、Netflixは他にもいくつかのタイトルを展開してきた。「Arcanium:Rise of Akhan(アルカニアム:ライズ・オブ・アカン)」「Asphalt Xtreme(アスファルト・エクストリーム)」「Bowling Ballers(ボウリング・ボーラーズ)」「Card Blast(カード・ブラスト)」「Dominoes Café(ドミノ・カフェ)」「Dungeon Dwarves(ダンジョン・ドワーフ)」「Hextech Mayhem:A League of Legends Story(ヘクステック・メイヘム:リーグ・オブ・レジェンド ストーリー)」「Knittens(ニット&キャット)」「Krispee Street(クリスピー・ストリート)」「Shooting Hoops(シューティング・フープス)」「Teeter (Up)(ティーター)」「Wonderputt Forever(ワンダーパット・フォーエバー)」などだ。先週初めには「Shatter Remastered(シャッター・リマスター)」と「This Is A True Story(真実の物語)」という2つのゲームを追加し、ラインナップを拡充している。Netflixはまた「Into the Dead 2:Unleashed(イントゥ・ザ・デッド 2:アンリーシュド)」という初のFPS(ファーストパーソン・シューティング)タイトルも予告している

同社は第4四半期の決算説明会で投資家に対し、これら初期のゲームの提供開始は、消費者が新サービスに何を求めているかを、よりよく理解するための準備であると説明している。ゲームのパフォーマンスについては、まだ詳細を明らかにせず、各ゲームタイトルのデイリーアクティブユーザーとマンスリーアクティブユーザーの両方が「増加」していると述べるに留めた。また、Netflixは、将来的にさらに大規模なゲームIPのライセンスを取得することに前向きであることも示唆している。

画像クレジット:Krisztian Bocsi / Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。