NetflixのゲームがAndroidユーザー向けに全世界で提供開始、iOSユーザーへは数カ月以内に

Netflix(ネットフリックス)が、一部の市場での初期テストを終えたモバイル専用ゲームのデビューラインナップを、今週からAndroidデバイスを使う全世界のメンバー向けに展開することを発表した。7月にNetflixは、モバイルゲーム市場への参入を初めて発表し、ゲームを映画やテレビ番組と並んで購読者に提供する「新たなコンテンツカテゴリー」と呼んだ。発表以来Netflixは、カジュアルゲームや人気のオリジナルTVシリーズ「Stranger Things(ストレンジャー・シングス)」を題材にしたゲームなどを含む、広告やアプリ内課金のない無料ゲームを会員に提供しはじめ、その数は徐々に増えている。

Netflixは、以前からゲームへの投資を拡大していた。2019年に開催されたゲームカンファレンスE3で、Netflixは「Roblox(ロブロックス)」や「Fortnite(フォートナイト)」などの人気ゲームプラットフォーム上の一連のゲーム統合を詳述し、新しい「Stranger Things」のゲームを市場に投入する計画を発表した。モバイル向けには、その後、テキサス州にあるゲームスタジオBonusXP(ボーナスXP)と共同で、ゲーム「Stranger Things:The Game(ストレンジャー・シングス:ザ・ゲーム)」の開発を始めた。このタイトルはその後、後続のタイトルである「Stranger Things 3(ストレンジャー・シングス・スリー)」と区別するために「Stranger Things:1984(ストレンジャー・シングス:1984)」と改称されている。

この2つのゲームは、Netflixが2021年8月にポーランドでゲームのマーケティングを開始した際に、同社のAndroidアプリ内でテストされた最初のタイトルとなった。

また、Netflixは9月に「Oxenfree(オクセンフリー)」などのストーリー性のあるタイトルで知られる独立系ゲーム開発会社Night School Studio(ナイト・スクール・スタジオ)を買収し、ゲームライブラリをさらに充実させた。

また2021年10月には、Netflixがポーランドに加えて、スペインとイタリアのNetflix加入者に対して、Frosty Pop(フロスティー・ポップ)の「Shooting Hoops(シューティング・フープス)」と「Teeter Up(ティーターアップ)」、Rogue Games(ローグ・ゲームス)の「Card Blast(カード・ブラスト)」という3つの新しいカジュアルゲームを展開するニュースをお伝えした。

そして今回、これらの2本の「Stranger Things」と、3本カジュアルゲームのフルラインナップが世界のAndroidユーザー向けに提供されることになった。

タイトルにアクセスするには、Android版Netflixアプリの中で新しい「ゲーム」タブをタップすればゲームの一覧を見ることができる。そこでタイトルを選択すれば、他のアプリと同様にGoogle Play(グーグル・プレイ)ストアに移動し、ゲームをインストールすることができる。ただし、サインインしてゲームをプレイするには、Netflixの会員登録が必要だ。

ダウンロード後は、Netflixアプリ内やAndroid端末のホーム画面上でゲームをタップすることで、いつでもプレイすることができる。

画像クレジット:Netflix

テスト期間中は、Androidスマートフォンのユーザーのみがゲームを利用できた。Netflixによれば、今回のグローバルローンチにより、Androidタブレットを持っているメンバーも利用できるようになるとのことだ。新しいゲームの列(6番目の位置に固定されている)にゲームが表示され、Netflixアプリの「カテゴリー」ドロップダウンメニューにも表示されるようになる。

NetflixがTechCrunchに伝えた情報によれば、新しいゲームは米国時間11月2日よりGoogle Playストアで公開されるものの、NetflixのAndroidアプリへの展開は米国時間11月3日から開始されるとのことだ。このロールアウトが完了し、グローバル市場のすべてのNetflixメンバーがゲームにアクセスできるようになるまでには、数日かかるだろう。

Netflixは、いまのところゲームを直接収益化する計画を持っていない。現在、タイトルは無料でダウンロードでき、広告もなく、アプリ内課金もない。むしろ、同社はゲームのことを、加入者を増やしたり既存の利用者をつなぎとめたりするための手段であると考えている。対象となるゲームをダウンロードしても、Netflixの会員でない場合は、ウェブ上でNetflixのアカウントを作成するように誘導される(これは、アプリストアにおけるアプリ内課金の手数料を回避するための別の方法とも考えられる)。

NetflixのCOO(最高執行責任者)でチーフ・プロダクト・オフィサーのGregory Peters(グレゴリー・ピーターズ)氏は、第3四半期の投資家向け決算説明会で、Netflixがゲームに関心を持ったのは、会員のニーズに応えるためだと説明した。同氏は、加入者の「大多数」がモバイル機器でサービスを利用していることを明らかにした。そのためには、長編ビデオコンテンツだけでなく、さまざまな体験を提供する必要がある。この点については、Netflixは2021年、傘下で利用できるコンテンツの種類を増やすという目的を果たすために、「Fast Laughs(ファストラフス)」というTikTok風コメディー動画のショートフィードもモバイルで開始している

ピーターズ氏は、同社のモバイルゲームへの取り組みは、まだ「信じられないほど初期の段階」であると述べている。

彼は初期のモバイルゲームテストを振り返りながら「これまでに行ってきたことのほとんどは、システムがすべて期待どおりに機能しているかどうかを確認することが目的でした。つまり、私たちが望む方法で配信ができるかどうかを確認することが重要だったのです」と述べた。そして、より長期的には、現在のアルゴリズムが新しい映画や番組を提案できるように、プレイするゲームを会員にパーソナライズして提案できるようになる可能性があると付け加えた。

さらに続けてピーターズ氏は「私たちのサービスを非常に強力なものにした映画やテレビ番組のレコメンドが、優れたコンテンツ制作者と視聴者を結びつけることになりました。私たちはそれをゲームに対しても構築する必要があるのです」と述べた。

同社は「今後数カ月のうちに」iOSユーザー向けのダウンロード可能なゲームを展開する予定だとしている。

これは、Apple(アップル)のApp Store(アップストア)規則がAndroidよりも多少厳しく、アプリが他のアプリやゲームをホストできないようになっている事情を反映している。

しかし、Appleは2020年、ゲーム配信アプリが「カタログアプリ」を提供することを認めるようにポリシーを更新した。カタログアプリでは、顧客がサービスに加入すると、その中で複数の業者が提供する個々のゲームタイトルにリンクすることができる。このポリシーは、Xbox Cloud Gaming(エックスボックスクラウドゲーミング)やGoogle Stadia(グーグルスタジア)のようなサービスを対象としているが、もともとダウンロード可能なタイトルをサブスクライブするためのハブを提供しているGameClub(ゲームクラブ)のカタログが、このポリシーのヒントになったと思われる。

Netflixのカタログも、このガイドラインの下でうまくいくだろう。ただし、加入者候補がサインアップする際にメインのNetflixアプリを介し、さらにAppleに取り分を与える場合に限る。

Androidへのゲーム展開は、米国太平洋時間11月3日午前10時(日本時間11月4日午前2時)に開始される予定だ。

画像クレジット:Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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