Netflixは支出の85%をオリジナル作品の製作に投ずる、既存の超大作映画などは儲からない

まだ疑っている方がおられるかもしれないが、今のNetflixは確かに、オリジナルコンテンツに軸足を置いている。コンテンツ担当最高役員(Chief Content Officer1) Ted Sarandosの推計では、今後の同社の支出の85%が、新しい番組やムービーの制作に向けられる。

今日(米国時間5/14)、MoffettNathansonのMedia & Communications Summit 2018におけるSarandosの所見を載せたVariety誌の記事によると、今後の年内のオリジナルの制作予定は470本あり、今年全体では1000本近くになる。

同社がオリジナルを重視するのは、当然かもしれない。なにしろ最近では、訪れたユーザーが最初のページで目にするのは既存大手の大ヒット映画/番組等ではなく、同社の新作オリジナルだ。またAppleAmazonHuluなども、オリジナル作品への支出を増やしている。

ただし、支出ではなく収入はどうか。それはまだ他社からライセンスしたコンテンツが断然強くて、最近の調査では アメリカにおける視聴数の80%がライセンスされたコンテンツだ。

全体的な状況としてはどうなっているのか、というと、これまでNetflixにライセンスを売ってきた大手映画会社等は今では、自分のコンテンツを自分でストリーミング提供したり、ライセンス料を上げたりする傾向にある。そのことが、ストリーミング各社のオリジナルコンテンツへの傾斜の背景にある。

またSarandosによると、ムービーはNetflixにおける全視聴件数の1/3を占めるが、しかしいわゆる大作映画に巨額のライセンス料を払うことはもはや、ストリーミングサービスにとって割に合わない。超有名超大作は、すでに映画館で見たという人が多いからだ。

“前から言っているように、今では、10億ドルあったらそれを生産物契約(output deal)に投じるより、オリジナルの制作に投じた方が良い”、と彼は述べる。

Sarandosはさらに、Queer Eyeのような、台本のない、社会的メッセージ性のあるリアリティ番組や、Shonda RhimesRyan Murphyのような有能な番組プロデューサーの起用に今後の商機を見ている。

オリジナル作品に対するNetflixの今年の予算は70〜80億ドルだった。そして今日は、(ぼくも大好きだったLost in Spaceリメイクの第二シーズンと、Shape of WaterのGuillermo del Toroand監督による連続ホラー10 After Midnightの製作が発表された。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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