NFTトレカゲーム「NBA Top Shot」のDapper Labsはマイケル・ジョーダンやハリウッドに支援され評価額2879億円に

Crypto Kitties(暗号仔猫)の初期の成功から「NBA Top Shot(NBAトップショット)」の爆発的な成長まで、Dapper Labs(ダッパー・ラブス)は、NFT(非代替性トークン)として知られる暗号資産コレクターズアイテムの流行の最前線に立ってきた。

そして今、ハリウッド、スポーツそして投資界の大物たちが主導する3億500万ドル(約337億8000万円)の新たな資金調達により、同社は先駆的な役割を果たしたメリットを享受している。

複数のメディアが報じたところによると、NFTが人々の想像力をかき立てている中で行われた今回のラウンドで、同社の評価額は26億ドル(約2879億円)に達したという。

今回の資金調達を主導したのは、レイターステージのテック企業の大規模なラウンドの多くを支援しているCootueだ。それに加え、NBAの伝説的な選手であるMichael Jordan(マイケル・ジョーダン)氏をはじめ、スポーツエンターテインメント界の大物たちが出資している。現役選手ではKevin Durant(ケビン・デュラント)氏、Andre Iguodala(アンドレ・イグダーラ)氏、Kyle Lowry(カイル・ラウリー)氏、Spencer Dinwiddie(スペンサー・ディンウィディー)氏、Andre Drummond(アンドレ・ドラモンド)氏、Alex Caruso(アレックス・カルーソ)氏、Michael Carter-Williams(マイケル・カーター=ウィリアムス)氏、Josh Hart(ジョシュ・ハート)氏、Udonis Haslem(ユドニス・ハスレム)氏、JaVale McGee(ジャベール・マギー)氏、Khris Middleton(クリス・ミドルトン)氏、Domantas Sabonis(ドマンタス・サボニス)氏、 Klay Thompson(クレイ・トンプソン)氏、Nikola Vucevic(ニコラ・ブーチェビッチ)氏、Thaddeus Young(サデウス・ヤング)氏、そしてRichard Seymour(リチャード・シーモア)氏の93 Venturesも出資した。

また、俳優のAshton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏とマドンナやU2のマネージャーGuy Oseary(ガイ・オザリー)氏のSound Ventures、Will Smith(ウィル・スミス)氏と本田圭佑氏のDreamers VC、シンガーソングライターのShawn Mendes(ショーン・メンデス)氏と彼のマネージャーAndrew Gertler(アンドリュー・ジェルトレル)氏のAG Ventures、女優のShay Mitchell(シェイ・ミッチェル)氏、ラッパーの2 Chainz(2チェインズ)など、エンターテインメントや音楽界の大物たちもこのラウンドに参加している。

さらにベンチャー業界からは、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)、The Chernin Group、USV、Version One、Venrockなどの戦略的投資家が参加した。

同社は今回の資金を、NBA Top Shotの継続的な構築に充てるとともに、デジタルトレーディングカードの最新プラットフォームを他のスポーツや幅広いクリエイターコミュニティに拡大するために使用するとしている。

Top Shotは、LeBron James(レブロン・ジェームズ)選手のダンクシュートなどを題材にしたアニメーション・トレーディングカードですでに5億ドル(約553億7000万円)以上の売り上げを記録しており、ブロックチェーンのコレクター向けアプリケーションにおいては、(少なくとも今のところ)上限は青天井であるように思える。

これは仮想通貨が得意とするところであり、スポーツのコレクターズアイテムの世界をはるかに超えて受け入れられている。最近、クリスティーズでデジタルアート作品が6900万ドル(約76億4000万円)で販売されたことも、アート界にとっては画期的な出来事だった。

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Dapper LabsのCEOであるRoham Gharegozlou(ロハム・ガレゴスルー)氏はこう語った。「NBA Top Shotが成功したのは、バスケファンの心を掴んだからです。これは人々が自分の好きなチームや選手とつながるための、よりエキサイティングな新しい方法なのです。当社は、他のスポーツリーグにも同じような喜びを提供するとともに、他のエンターテインメントスタジオや独立系クリエイターがオープンプラットフォームを模索する際に、独自のアプローチを見つけられるように支援したいと思っています。NFTは、広告やスポンサーシップよりもはるかにファンのためになる、新しいマネタイズモデルを提供します」。

Top ShotシステムやDapper Labsの他の製品を支えているのは、Flow(フロー)と呼ばれる新しいブロックチェーンプロトコルで、それは主流の消費者向けアプリケーションを大規模に処理し、大量採用に対応できると同社は主張している。

Dapper Labsの声明によると、Flowは法定通貨やクレジットカードを使った取引を可能にし、仮想通貨の使いやすさを提供するとともに、仮想通貨システムにありがちな詐欺や盗難から顧客を守ることができるという。

Flowは、NFTマーケットプレイスやその他の分散型アプリケーションで、非常に高い取引コスト(「ガス料金」)や環境問題に悩まされることなく、メインストリームの需要に対応するための拡張性を実現することができると、同社は述べている。

Thirty Five Venturesの共同創業者でNBAのBrooklyn Nets(ブルックリン・ネッツ)の選手でもあるKevin Durant(ケビン・デュラント)氏はこう述べた。「NBA Top Shotは、新しい技術がメディアやスポーツファンの状況をいかに迅速に変化させるかを示す、これまでに見た中で最高のデモンストレーションの1つです。Flowブロックチェーン上で起こっているすべてのことの経過を追い、プラットフォームを使って、新しい方法でファンとつながることに興奮しています」。

すでに、Warner Music Group(ワーナーミュージック・グループ)、Ubisoft(ユービーアイソフト)、Warner Media(ワーナーメディア)、UFCなどの企業や、何千ものサードパーティの開発者、アーティスト、その他のクリエイターが、Flowのメインネットを利用して、コレクターズカードの販売やカストディアルウォレットの開発を行っている。

今回のラウンドの他の投資家は以下のとおりだ。MLB選手のTim Beckham(ティム・ベッカム)氏とNolan Arenado(ノーラン・アレナド)氏、NFL選手ではKen Crawley(ケン・クローリー)氏、Thomas Davis(トーマス・デイヴィス)氏、Stefon Diggs(ステフォン・ディグス)氏、Dee Ford(ディー・フォード)氏、Malcom Jenkins(マルコム・ジェンキンス)氏、Rodney McLeod(ロドニー・マクロード)氏、Jordan Matthew(ジョーダン・マシューズ)氏、Devin McCourty(デビン・マコーティー)氏、Jason McCourty(ジェイソン・マコーティー)氏、DK Metcalf(DK・メトカーフ)氏、Tyrod Taylor(タイロッド・テイラー)氏、そしてTrent Williams(トレント・ウィリアムズ)。NBAサクラメント・キングスのチームオーナーとして知られるVivek Ranadivé(ヴィヴェク・ラナディベ)氏や、著名なスポーツ投資家であるBolt Venturesも参加した。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Dapper LabsNFTトレーディングカードNBA資金調達

画像クレジット:NBA Top Shot

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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