NFTマーケットプレイスのOpenSeaが「ガス代」排除に向け、複数のブロックチェーンに対応を計画

NFT(非代替性トークン)オークションのマーケットプレイスであるOpenSea(オープンシー)にとって、この2021年は激動の年となっている。2021年初めにNFTがどこからともなく爆発した時、このスタートアップ企業はニッチな分野で非常に有利な立場にあった。それ以来、OpenSeaはユーザーベースを拡大し、売上総額を急増させ、さらに多くの投資家から資金を提供されている。

OpenSeaは2021年3月に、資金調達額2300万ドル(約25億3000万円)でシリーズAラウンドを完了したことを発表したが、それから約4カ月後、アンドリーセン・ホロウィッツが主導するシリーズBラウンドでさらに1億ドル(約110億円)を調達し、評価額は15億ドル(約1650億円)に達したとTechCrunchに語った。今回のラウンドには、Cootue(クートゥー)、CAA、Michael Ovitz(マイケル・オーヴィッツ)氏、Kevin Hartz(ケヴィン・ハーツ)氏、Kevin Durant(ケヴィン・デュラント)氏、Ashton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏などが参加した。

夏の初めに成層圏から下落したにもかかわらず、広範なNFT市場はまだ活気に満ちており、OpenSeaは引き続き活発な動きを見せている。2021年6月の売上高は1億6000万ドル(約176億円)で、7月はこの数字を超える勢いだと、CEOのDevin Finzer(デビン・フィンザー)氏はTechCrunchに語っている。

同社の成長を阻む障害となった1つの要因は、そのマーケットプレイスの基盤となっているEthereum(イーサリアム)ブロックチェーンに特有のインフラ問題だった。イーサリアムブロックチェーンは、間もなくネットワークの大型アップグレードが予定されているが、NFTブームに追いつくのに苦労しており、時に高額な「ガス代」をユーザーに負担させることがある。アイテムの生成や取引に必要なこれらの手数料は、この数週間に大きく下落したが、OpenSeaは長期的なスケーラビリティを目指すため、さらにいくつかのブロックチェーンをプラットフォームでサポートすると発表した。

同社はまず、人気の高いレイヤー2のイーサリアムブロックチェーンであるPolygon(ポリゴン)に対応する。Polygonは、よりエネルギー効率の高い構造を持っているため、OpenSeaはこのブロックチェーン上のクリエイター、バイヤー、セラーのガス代を完全に排除することができる。ガス代がなくなれば、OpenSeaにとっては、ゲームやイベントの分野でNFTの将来性を見出すなど、野望を拡大できる勝算が高くなると、フィンザー氏は語っている。

OpenSeaは、Polygon以外にも、Dapper Labs(ダッパーラボ)のFlowブロックチェーンや、Tezos(テゾス)との統合を計画しているという。

複数のブロックチェーンにまたがって運用するということは、各ネットワークのサポートレベルが異なるプラットフォーム間で運用する消費者にとって、いくつか頭痛の種となる可能性がある。また、NFTの投資家の中には、イーサリアムよりも実績の乏しいブロックチェーンで商品を購入することに躊躇する人もいる。新しいブロックチェーンは、長年の間にサポートを失うかもしれないと心配だからだ。

しかし、全体としては、今回のユーザーフレンドリーな変更は、より広くNFTのコミュニティに受け入れられるのではないかと思われる。NFTコミュニティでは、新たな関心が爆発的に高まったことでシステムがストレスを受けており、ユーザーインターフェースやユーザーエクスペリエンスの改善が必要であることを認識しているからだ。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFTOpenSeaa16z資金調達Ethereum

画像クレジット:Sheila Creighton / EyeEm / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

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