Nianticが「現実世界のメタバース」というビジョン&AR開発者キット「Lightship」を発表、AR体験構築をよりアクセシブルに

「Pokémon GO(ポケモンGO)」の開発で知られるARテクノロジー企業のNiantic(ナイアンティック)は、拡張現実体験の構築をより身近なものにするAR開発キット(ARDK)「Lightship」を発表した。この無料で公開されている技術は、同社のビジョンである「現実世界のメタバース」の基礎を築くのに役立つ。

NianticのJohn Hanke(ジョン・ハンケ)CEOは、プログラム立ち上げのライブストリームで、以前彼がメタバースを「ディストピアの悪夢」と呼んだ自身のブログ記事に言及した。しかし、Facebook(フェイスブック)が社名をMeta(メタ)に変更し、VRヘッドセットが支配する未来を宣伝している間にも、Nianticは代替案を想像している。それは、仮想世界ではなく、人々を直接結びつけるメタバースだ。

Nianticの既存のゲームは、屋外での活動や新しい人との出会いを重視している。リモートでプレイできるようにパンデミック時代の調整を行う前は、伝説レイドバトルなど、Pokémon GOの特定の側面は、十分な数のプレイヤーが同時に協力しないとプレイできなかった。2017年に伝説レイドバトルがリリースされると、ローカルなDiscordコミュニティが立ち上がり、人々は現実世界でのミートアップを調整して、一緒にルギアやフリーザーを捕まえようとした。

ハンケ氏は次のように述べた。「Nianticでは、人間はバーチャルな世界がフィジカルな世界につながるときに最も幸せだと考えています。SFのメタバースとは異なり、現実世界のメタバースは、何千年も前から知られている私たちの世界における経験を向上させるためにテクノロジーを活用します」。

Lightship ARDKの公開により、デベロッパーは「Ingress(イングレス)」「Pokémon GO」「Pikmin Bloom(ピクミンブルーム)」などのゲームの基盤を利用して、新たなプロジェクトを生み出すことができる。また同社は、2000万ドル(約22億6500万円)規模のNiantic Venturesファンドを開設し、Nianticのビジョンに合致する企業に投資する。ローンチ時点で、NianticはすでにCoachella(コーチェラ・フェスティバル)、英国の歴史的王宮を管理する非営利組織Historic Royal Palaces、Universal Pictures(ユニバーサル・ピクチャーズ)、全米プロゴルフ協会などのブランドと提携しており、彼らは同社のARDKを利用しているという。

このソフトウェア開発キットは、3D、2D、VR、ARエクスペリエンスを構築するソフトウェアであるUnityと統合することで、開発者がiOSやAndroid向けの体験を構築するのに役立つ。ARDKは、NianticのAR機能のトップ3である、リアルタイムマッピング、セマンティックセグメンテーション、マルチプレイヤー機能を提供し、Nianticが何年もかけて開発してきたツールを、新進気鋭のクリエイターが利用できるようにする。

NianticのプロダクトマネージャーAmanda Whitt(アマンダ・ホイット)氏は、この度のQ&Aで「Unityの経験が少しあれば、簡単に使いこなせるようになります」と語った。

この新しいLightship ARDKは、興味のある開発者向けにNiantic Lightshipのウェブサイトで公開されている。

画像クレジット:Niantic

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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