Nothing初の完全ワイヤレスイヤフォン「Ear(1)」はノイキャン搭載で約1万900円

Nothingについてわかっていることは文字通りほとんどない。しかしこの若きハードウェアスタートアップは、そのことを利用して巧みなマーケティング活動をしている。7月27日に迫った同社初の製品である「Ear(1)」(イヤー・ワン)の発表を前に、Nothingのマーケティング部隊はごくわずかずつ情報を公開している。

発表イベントに先立ち、TechCrunchはファウンダーのCarl Pei(カール・ペイ)氏に、同氏の最新のハードウェア会社設立についてさまざまな話を聞いた。話の中で同氏は、近日発売の完全ワイヤレスイヤフォンについていくつか追加情報を披露した。

「ノイズキャンセリングのような最先端機能を備えたすばらしい製造品質の製品になります」とペイ氏はTechCrunchに話した。「私たちは主としてオンライン販売チャネルに焦点を絞っているので「手頃価格」とまでは言いませんが、消費者にとって十分公正な価格にすることができました。Ear(1)の場合、通常の不透明なデザインよりもずっとデザインコストがかかります。99米ドル、99ユーロ、99ポンドというのは納得のいく価格だと思います。機能的にはAirPods Proに似ていますが、AirPods Proは249ドル(約2万7500円)します。

画像クレジット:Nothing

今のイヤフォン市場の価格設定はあらゆる範囲に広がっている。Apple(アップル)はAirPods Proで主流製品のハイエンドを支えている。Sony(ソニー)の最新製品は280ドル(約3万1000円)という本格的プレミアム価格で競り合っている。一方、スペクトラムの反対の端では、50ドル(約5500円)を切るイヤフォンを見つけるのも難しくないが、ローエンド製品の持続時間はさまざまだ。

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Ear(1)は99ドル(約1万900円)という思い切った価格設定で、Samsung Galaxy Buds(サムスン・ギャラクシー・バッズ)や最近発売されたGoogle Pixel Buds-A Series(グーグル・ピクセル・バッズAシリーズ)と同じ価格帯にある。Nothingの製品は、ノイズキャンセリングを含むAirPods Pro並の機能セットで優位を保つだろう。TechCrunch宛てのメールで同社は、アクティブノイズキャンセリングは高精度マイクロフォンを3基使って実現していると語った。Essential(エッセンシャル)から取得した知的財産権はこの最初の製品には使用されていない、とペイ氏は付け加えた。

社名をNothingに決める前、『Essential』は検討していた名前の1つでした」とペイ氏はいう。「この商標を買い取った理由はそれです。私たちはEssentialで何かする予定はありません」。

Nothingにとってこれは機能競争ではない、と彼は強調する。「今の子ども達が将来なりたいのはTikToker(ティックトッカー)やYouTuber(ユーチューバー)です」とペイ氏はTechCrunchに話した。「おそらく、テクノロジーが以前ほど感動を生まないからだと思います。消費者に聞いてみても、数年前と比べてテクノロジーをあまり気にしていません。ブランドがどんなコミュニケーションをしているかといえば、機能とスペックのことばかりです。この業界に崇高な目的を持っている人は誰もいません」。

ここでいう「崇高な目的」とはNothingのエコシステム活動、コネクティビティー、そしてユーザーの「デジタルライフをよりシームレスに」することだ。そしてそれは、名前が示すように、自分のやり方から抜け出すテック企業をつくる試みでもある。それは美的感覚の問題でもある。その新しいイヤフォンが透明になることを我々は知っている。発売が遅れる原因になった設計判断だ。

 

「世の中に透明な消費者家電製品が多くないのには理由があることがわかりました」とペイ氏は言った。「高品質なものを作るのは実に大変です。内側にあるものすべてが外側にあるものと同じように美しくなければなりません。チームが反復してきたのはそこです。それぞれのバージョンの違いはおそらくわからないでしょう。適切なマグネットを選ぶ(通常マグネットは製品の内側にあるのでユーザーには見えない)ことから最適な種類の接着剤を見つけることまで、不透明な製品を作っているときには解決する必要のない問題ですが、いったいどんな接着剤なら工業デザインを損なわないのでしょう」。

Nothingはコストを下げるために直販に頼ろうとしていない。初期のターゲットは英国、インド、ヨーロッパおよび北米で、日本、韓国などがそれに続く。同社はそれ以外の市場進出も検討している、とペイ氏はいう。Ear(1)は現在同社が準備している3つの製品群の1番目だ。

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カテゴリー:ハードウェア
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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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