Nuroの無人配達車がカリフォルニアでの公道試験許可を取得

自動運転配達のスタートアップNuro(ニューロ)は、カリフォルニアの公道での無人走行試験の許可を取得し、カリフォルニア州全土での事業化への道が拓かれた。

2019年にソフトバンク・ビジョン・ファンドから9億4000万ドル(約1020億円)の資金を調達したNuroは、サンタクララ郡とサンマテオ群の一部の公道で、低速電気配送車R2を2台走ることが許されたと、カリフォルニア州での自動運転車のテスト走行を監督する政府機関のカリフォルニア州車両管理局(DMV)が発表した。

無人運転の許可を得ると、制限速度時速35マイル(約56km/h)以下の公道を最大速度時速25マイル(約40km/h)で、晴れの日に限り走行できるようになるとDMVはいう。この許可はアサートン、イーストパロアルト、ロスアルトスヒルズ、ロスアルトス、メンローパーク、マウンテンビュー、パロアルト、サニーベイル、ウッドサイドの9つの街で有効となる。

「車に乗る公衆の安全を守ることがDMVの最優先事項であり、こうした許可は簡単に与えられるものではありません」とDMV局長Steve Gordon(スティーブ・ゴードン)氏は声明の中で述べている。「NuroはDMVの要件を満たしたことから、カリフォルニアの公道での無人運転配送車のテストが許可されました」

カリフォルニア州のGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)知事が新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックを受けて自宅待機指示を出したことから、Nuroは無人車の走行試験を今すぐ始めることができない。試験が始められるようになれば、同社は積極的に公道試験の実施計画を推し進める予定だと、Nuroの最高総務責任者David Estrada(デビッド・エストラーダ)氏はブログ記事に書いている。「近隣の街や郡の住民のみなさんは、すぐにでもR2が路上を走る姿をご覧になるでしょう」と彼は述べている。

事業化への道

安全のために人間のドライバーを乗せるという条件で、自動運転車走行試験の許可を得ているZ企業は65社ある。しかしカリフォルニアの公道を無人で走行試験ができる許可を取得したのは、Wyamo(ウェイモ)と、新しく加わったNuroだけだ。

それを実際に行うのは、Nuroが先になりそうだ。かつてはGoogleの自動運転プロジェクトであり、その後に独立してAlphabet(アルファベット)傘下の企業となったWaymoは、最初にこの許可を得たのが2018年10月だった。ところが同社はカリフォルニアの公道での走行試験を一度も行っていない。なぜならWaymoは、アリゾナ州に重点を置いているからだ。そこではWaymo One(ウェイモ・ワン)と呼ばれるロボタクシーがすでに運用されており、より確実な事業化への道を進んでいる。

カリフォルニアは、自動運転車開発業者にとって事業化への道が見えにくい場所となっている。DMVは、州の法律に従い自動運転車の試験を規制している。乗客を運びたい場合、つまり配車サービスを運用したいと思えば、Autonomous Vehicle Passenger Service(自動運転車旅客サービス)の仮免許をカリフォルニア公益事業委員会(CPUC)から取得しなければならない。

CPUCは、人の輸送に自動運転車を使う許可を企業に与える。しかし、運賃を取ることはできず、必ず安全のためのドライバーを運転席に座らせなければならない決まりだ。

NuroのR2は、人を乗せるようには作られていない。荷物専用だ。荷物の配送料を請求できなかったとしても、地元の小売業者と協力して自動運転車による配送事業を立ち上げ、利益を得ることは可能だ。

Nuroはまず、マウンテンビューの一部の顧客への無料配送サービスから始める予定であり、これが地元ブランドや小売店と提携で公式な配送サービスにつながるとエストラーダ氏はいう。

同社はすでに、州全体をカバーする配送サービスに着目している。エストラーダ氏によると、カリフォルニア全土の住民にサービスを提供するため、Nuroは完全な商業展開許可を申請するとのことだ。

「無人R2配送車を公道で走らせることは、私たちにとって、さらに自動運転業界にとって重要な一歩になります。しかしこれは、未来のほんの小さな光に過ぎません」とエストラーダ氏。「私たちは、自動運転車の輸送パワーをずっと信じてきました。この新型コロナウイルス危機においては、その可能性はより意味深いものになると理解しています」。

NuroのR2ユニット

画像クレジット:Nuro

Nuroは、2016年6月に、Google出身のDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・ジュー)氏によって創設された。安全のための人間のドライバーを乗せる条件での走行試験許可は2017年に取得している。当初、同社はトヨタのプリウスを改造した車両で走行試験を、そしてアリゾナとテキサスでは食品配送の先行サービスを行っていた。

同社は2018年、荷物専用車両の第一歩となるR1に車両を切り替えた

R2と名付けられた第2世代の車両は、2020年2月に公開された。R2は、ミシガンを拠点とするRoush Enteprises(ラウシュ・エンタープライゼズ)との契約により米国内でデザインされ組み立てられているが光を用いたリモートセンシング技術であるライダー、レーダー、カメラを備え、周囲360度の視野を「ドライバー」に提供する。しかし、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)が求める安全基準をいくつか満たしていない。

規制当局と3年間交渉を重ねた結果、NuroはR2の無人運転車のNHTSAの基準に関する適用除外措置を引き出すことができた。これによりサイドミラー、フロントガラス、前進時にはオフになるリアビューカメラが装備されていなくても走行できることになったのだ。

この措置は、自動運転ユニットCruise(クルーズ)ためにGMが現在交渉しているものとは内容が異なる。クルーズは低速車ではないため、必要な適用除外項目はもっとずっと多い。

画像クレジット:Nuro

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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