NVIDIAの次世代自動運転ツールキット「Hyperion 8」が2024年の車両モデルに対応

自動運転機能、ロボタクシー、自動運転トラックの導入を目指す自動車メーカー、サプライヤー、スタートアップは、NVIDIA(エヌビディア)の最新のコンピュートおよびセンサーツールキットにあと少しでアクセスできるほど近づいている。

NVIDIAの創業者でCEOのJensen Huang(ジェン・スン・フアン)氏は米国時間11月9日に開催された同社の秋季GTCイベントにおいて、AV開発に必要なセンサー、コンピュート、ソフトウェアを含む量産可能なプラットフォーム「Hyperion 8」を、2024年の車両モデル向けに購入できるようになったことを発表した。

Hyperion 8は、エンド・ツー・エンドのNVIDIA Driveプラットフォームの最新版で、自動車メーカーが好みやニーズに合わせてカスタマイズして使用することが可能だ。Hyperion 8は4月に初めて明らかにされた。しかし、このプラットフォームを構成するカメラ12台、レーダー9台、LiDAR1台をどの企業が供給するかなど、詳細の一部は11月9日まで明らかにされていなかった。注目すべきは、Luminar(ルミナール)がLiDARを提供している点で、これは新規上場企業にとって大きな恩恵となる可能性がある。また、Continental(コンチネンタル)、Hella(ヘラ)、ソニー、Valeo(ヴァレオ)もHyperion 8用にセンサーを提供している。

Luminarの創業者でCEOのAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏は「NVIDIAのシステムが(量産車向けに)設計されるのに合わせて、我々も最終的に設計されることになります」と述べた。

Hyperionは、自動車メーカーなどの顧客が、車内の基幹コンピュートやミドルウェア、AI機能など、必要なものにアクセスして調整することができるリファレンスプラットフォームだ。

今回のHyperion 8の提供開始は、秋のGTCイベントでフアン氏が発表した一連の自動車関連の発表の1つだった。主な発表内容は多岐にわたる。6月のDeepMap買収によって強化されたマッピングの開発や、シミュレートされたカメラでリアルなシーンを再現し、データを自動的にラベル付けするツール、デジタルアシスタントの役割を果たして自動運転システムと乗客の間の重要なコミュニケーションを提供し、駐車もこなせるパーソナルコンシェルジュ製品などだ。各新製品の発表はいずれもHyperion 8に適合したり、補完したりするものだ。

結論:この分野には、乗用車用の運転支援システムを開発しているサプライヤーや自動車メーカー、自動運転トラックやロボタクシーのような完全自律走行車の展開に取り組んでいる企業が含まれ、NVIDIAはそうした自動運転マーケットの多くを取り込むことを目指している。

NVIDIAは、Cruise(クルーズ)、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、TuSimple(トゥーシンプル)、Volvo(ボルボ)、Zoox(ズークス)など、自社のDrive Orinコンピュータ・システム・オン・チップを使って開発している多くの顧客を獲得している。NVIDIAは秋のGTCイベントで、Lotus(ロータス)、中国の自動運転スタートアップQcraft(キュークラフト)、中国のWM Motor Technology Co(WMモーターテクノロジーカンパニー)が所有するEVブランドのWeltmeister(ヴェルトマイスター)など、さらにいくつかのブランドの獲得を宣伝した。

NVIDIAの自動車担当副社長であるDanny Shapiro(ダニー・シャピロ)氏は、GTCに先立って行われた説明会で「100%のマーケットシェアを期待しているわけではありませんが、NVIDIA DRIVEで開発している市場のシェアは圧倒的です」と述べた。「その理由は、NVIDIAがエンド・ツー・エンドのソリューションを提供しているからに他なりません。車に搭載されるものだけでなく、データセンター、シミュレーション、車両に至るまで、同じアーキテクチャー上にあることは非常に大きな利点です」。

画像クレジット:NVIDIA

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。