Oculus QuestでFacebook Messengerが利用可能に、承認前のコンテンツを提供するApp Labの導入も

Facebook(フェイスブック)は、2020年第4四半期の決算報告で、VR事業の成功について話すことに通常よりも多くの時間を費やした。開発者の成功や、同社が発売した最新型VRヘッドセット「Oculus Quest 2(オキュラスクエスト2)」の好調な売れ行きにも時間を割いた。

VRプラットフォームに残された歪みの1つは、サードパーティによるゲーム以外のアプリへのサポートが全体的に不足していることだ。Oculus Quest 2はハードウェアとして強力な製品だが、VR向けに利用可能なモバイルアプリは数が少ない。Hulu(フールー)やNetflix(ネットフリックス)からストリーミング視聴アプリが用意されているものの、市場にあるヘッドセットの数が比較的少ないため、コンテンツの更新も乏しい。

自身が主要なアプリの開発者であるFacebookは、 Facebookブランドであることが明らかなハードウェアには興味を持たないかもしれない消費者をないがしろにせず、Oculusのヘッドセットに親会社のユーティリティをもたらすという行為において、かなり微妙なバランスを保ってきたように見える。

しかし2020年秋、OculusユーザーにFacebookのログインを義務化した後、そのバランスの大部分は崩れてしまったように思われる。米国時間2月2日、同社はQuestとQuest 2のユーザーがアプリ内のMessenger(メッセンジャー)チャットにアクセスできるようになることを発表した。これによってQuestユーザーは、友人に定型文のメッセージをすばやく送信したり、VR内のキーボードや、ヘッドセットの音声テキスト変換機能を使用して作成したメッセージを送ることができるようになる。

VRプラットフォームでますます圧制的になるFacebookのソフトウェアの存在感に不安を感じる人は、これもQuest 2を敬遠するもう1つの理由になるかもしれないが、VRゲームのプレイをもっとソーシャルな体験にしたいと思っている人や、ヘッドセットを装着することで携帯電話に気付かず完全な孤立に陥ってしまうのを避けたいと思っている人にとって、これは歓迎されるだろう。

Messengerのアップデートと並んで、FacebookはOculus Questの新しいアップデートで、「App Lab」と呼ばれるテストフライトのような機能を展開し、QuestユーザーがOculus Storeで承認されていないコンテンツをダウンロードできるようにすることを明らかにした。この機能は、Facebookが駆け出しのゲームデザイナーを遮断し、Questにコンテンツを提供できないようにしているという不満を解消するためのものだ。ユーザーはApp Labでタイトルを名前で検索したり、リンクをクリックしてタイトルにたどり着くことができる。この新機能は、開発者が承認を得ずに実験的なコンテンツを提供するためのハブを構築していたスタートアップ「SideQuest(サイドクエスト)」に直接対抗するものだ。

Facebookによると、新しいアップデートはユーザーに「徐々に」展開されていくとのことで、すべてのユーザーがすぐにアップデートできるわけではないようだ。

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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