OKpandaが完全モバイルな英語学校「OKpandaライブ英語」を開始

モバイルと英語(外国語)学習という括りだと、非常に多くのスタートアップやアプリがあるが、そのほとんどは単語学習、発音学習、会話練習などの特化型。既存の英語学校に相当するものを丸っとモバイルで提供しようというところは案外なかった。日本市場をターゲットとする英語学習アプリスタートアップのOKpandaが今日ローンチした「OKpandaライブ英語」は、ライブの会話レッスン、カリキュラム、教材、24時間いつでも教師に質問ができるチャットなどを含む完全モバイルのオンライン英会話学校だ。

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OKPandaは2012年創業で、発音学習アプリの「OKpanda毎日英語」や、会話学習アプリ「シチュエーション英会話」を提供してきた。これらのアプリは、すでに110万ユーザーとなっているそうだ。OKpanda創業者のAdam Gries氏がTechCrunch Japanに語ったところによれば、今回3つ目のアプリとして提供するOKpandaライブ英語は、包括的サービスとなるもの。発音分析アプリなどは支援アプリとしていく予定という。例えば発音学習アプリの分析結果をライブ英語の教師が参照してレッスンに生かすといったことだ。

日本では低価格なSkype英会話ブームも2014年のレアジョブの上場で一巡した感もあるが、自身も外国語学習者であるGries氏が指摘するのは、外国語習得には会話練習だけでは十分ではないということだ。

「文法も重要です。皮肉なことですが、多くの人が、こういいます。日本人は英語のスピーキングやリスニングが苦手なだけだよ。リーディングやライティングは得意なんだ、なぜなら文法が得意だから、と。でも、これは誤りです。日本人はシャイだから会話がより苦手に見えるというだけのことです」

もし文法のような座学が必要なら、それは自分でやればいいだけではないのだろうか?

「いいえ、独学で学習できる人ぐらいモチベーションが高い人もいるかもしれません。でも、ほとんどの人には無理です。だからカリキュラムと教材が必要なんです。ベルリッツやニューオリエンタルといった既存の英語学校が一番最初に生徒に求めることは、学習計画を立てることなんです」

多くの人が語学学習で挫折するのは続かないからで、継続のためには一貫性と計画性のあるカリキュラムが必須というのがGries氏の指摘だ。

音声付き動画によるライブチャットは初心者にはハードルが高い。ましてターゲットとなる外国語を使って、その言語の文法を学ぶのは現実的には無理だ。そこでOKPandaライブ英語では文法などはモジュール化した教材として日本語で提供しているのだそうだ。

WebRTCの成熟など機が熟した

OKPandaのようなスタートアップ企業がモバイルで動画を使ったサービスに切り込むのは機が熟したということ背景にある。

1つはブラウザベースで音声・動画コミュニケーションができるAPIのWebRTCが成熟してきたこと。OKPandaが利用しているTokBoxのようなWebRTCプラットフォームサービスが出てきたこともあり、iOSやAndroidでのWebRTC利用の技術的な問題が減ってきているそうだ。もう1つ、参入障壁が低くなったこともある。OKPanda創業者のGries氏は日本通のアメリカ人だが、15年前だとiモードなどハードルが高かったものが、iOSやAndroidによって国境が消え、少なくともアメリカと日本は市場としては地続きになったことをGries氏は挙げる。英語学習だと中国は大きな市場に思えるが、中国は独自のアプリエコシステムが生まれている。そして英語学習市場としてみたとき、動いている金額ベースでいえば、日本はアジアの中でも上位だから、ということもあるそうだ。2020年のオリンピックへ向けて英語学習熱が国全体で高まっていることもある。

PCやWebの時代から続いているオンライン英語学校には教材やカリキュラムの揃ったところもある。モバイルであれば、例えばCamblyのようにWebRTCを活かした会話レッスン特化サービスもあって、iPhone 1つでいつでも気軽にレッスンが受けられるというサービスもある。ただ、モバイルで英語学校をネット上に再構築するという言い方をしているところはこれまでになく、ユニークなチャレンジと言えそうだ。

同じ外国語を学ぶ友だちができたり、物理的なコミュニケーションには代えがたい価値がある。このことからGries氏はリアルな英語学校が消えてなくなるようなことはないとしながらも、教師と生徒の連続性のある支援関係という、これまで英語学校が提供していたものはモバイルでも再現できるのではないかと話す。ベータテスト期間でも、65%の生徒は2〜6人程度の教師とレッスンした後に、1人か2人の教師と継続レッスンすることを選んでいるといい、OKpandaでも、そういう継続性を推奨しているそうだ。OKPandaライブ英語はサブスクリプションモデルで、月額1980円から5980円など。課金によって付与チケット数が異なる。顔の見える会話レッスンは事前予約制で1レッスン25〜30分。これまでにOKPandaは、Resolute VentureやEast Ventures、500 Startups、Beenosなどから総額約460万ドルの投資を受けている。2013年、2014年、2015年、2016年こそ英語学習と思っている人には選択肢の1つになるかもしれないね。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。