OneWebのインターネット衛星、最初の6機が打ち上げ成功

アップデート:打ち上げと衛星の軌道投入は成功

4年の年月と20億ドル(約2200億円)の投資の後、OneWebはようやく全世界にインターネットを提供する650機の衛星コンステレーションのうち、最初の6機を打ち上げた。アリアンスペースによって運用されるソユーズロケットは、太平洋時間の1時37分にギアナ宇宙センターから打ち上げられた。

OneWebは数百〜数千機の人工衛星による衛星コンステレーションを目指している会社のうちの1社。ソフトバンクが最大の出資主となっており、その他にもヴァージン・グループやコカ・コーラ、Bhartiグループ、クアルコム、そしてエアバスが出資を行っている。

OneWebの計画では、合計で900機(最初に650機)の人口衛星を高度約1100kmの地球低軌道に打ち上げる。そして、ベースステーションを利用すれば地球のあらゆる場所でブロードバンド通信が利用できる予定だ。既存の衛星インターネットよりもずっと安くて高速なのが、その特徴となる。

もしかしたら、SpaceXによる類似プロジェクト「Starlink」を聞いたことがあるかもしれない。Starlinkはより多数の人工衛星を利用する計画で、またSwarmはより小さな衛星コンステレーションによる廉価なサービスを目指している。さらに先日、Ubiquitilinkはベースステーションを必要としない通常の携帯電話と人工衛星を直接つなぐ、ユニークな技術を案内した。そして、前述のすべての会社はすでに人工衛星を打ち上げている。

OneWebの計画は大きく遅れており、本来衛星コンステレーションを2019年末までに構築する予定だった。しかし、それは今となっては不可能だ。遅延は宇宙開発業界では当たり前ではあるが、OneWebは計画が遅れる間にも、量産計画と資金の募集、そして人工衛星の改良を進めていた。ミッション概要で明かされた最新の計画では、OneWebは2020年に消費者向けのデモを開始し、2021年に全世界で24時間のサービスを提供すると明かしている。

衛星1機あたりのコストは約100万ドル(約1億1000万円)ー2015年の計画から倍増しているがーで、衛星コンステレーションの構築とテスト費用は10億ドル(約1100万円)に達するとみられているが、これは打ち上げコストを含んできない。打ち上げは勿論安価ではなく、むしろおそらくは極めて高価になることだろう。CEOのAdrián Steckel氏がFinancial Timesに先月伝えたところによれば、そのためにソフトバンクや他の出資主はより多くの資金集めに取り組んでいる、ということだ。

さらに、OneWebは通信会社との最初の大きな提携を発表した。アフリカと中東地域に通信サービスを提供しているTaliaは、2021年からOneWebのサービスを利用することで合意している。

ソユーズは30機以上の人工衛星の打ち上げ能力があり、衛星コンステレーションの完成にはあと最低20回の打ち上げが必要だ。最初の打ち上げは6機のみで、その他にはダミーペイロードが搭載され、打ち上げの様子をシミュレートした。

OneWebの代表は、今回の打ち上げは「衛星デザインと通信システムの実証」が目的だとしている。OneWebは今後6機の人工衛星を数ヶ月にわたりテストしつつ追跡し、地上局との通信など全体システムの動作を実証する予定だ。

人工衛星をフルに搭載した打ち上げは、フロリダのケネディ宇宙センター近郊にて建築されている量産施設が完成した後となる、今秋から始まる予定だ。

(文/塚本直樹 Twitter

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TechCrunch Japan

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