OpenAIの約109億円スタートアップファンドはマイクロソフトがパートナー

OpenAIが、スタートアップを対象とする1億ドル(約109億円)のファンドを立ち上げる。OpenAI Startup Fundと呼ばれ、これによりファンドとそのパートナーたちは、重要な問題および生産性の問題に挑戦している初期段階のAI企業に投資する。パートナーとファンドの投資家たちにはMicrosoftがおり、BuildカンファレンスではOpenAIの創立者である元Y CombinatorのSam Altman(サム・アルトマン)氏がこのニュースを発表した。

め録画されたビデオの中でアルトマン氏は「これは、よくあるような企業のベンチャーファンドではありません。私たちは、10社を超えない少数の企業に大きな投資をしていきたいと計画しています」と説明している。

1億ドルがどのように分割・分配されるのか、どのようなスケジュールで行われるのか、また、これがより長期的なプログラムの一部なのかなど、明らかになっていない。しかし、2021年のラウンドに限らず、限定的な資金であることは間違いなさそうだ。

アルトマン氏は、OpenAIのミッションステートメントに沿って、AIを活用したアプリケーションやアプローチが「人類全体に利益をもたらす」ようなヘルスケア、気候変動、教育といった深刻な問題に取り組んでいる企業を探していくと述べた。また、Microsoftが先に発表したGPT-3を利用した自然言語処理のように、生産性の向上も考慮するとしている。

MicrosoftのCTOであるKevin Scott(ケビン・スコット)氏は、Buildカンファレンスのキーノートで次のように述べている。「GPT-3のような強力なツールを使って、世界に貢献するような意欲的なアプリケーションを作ることができるのは、デベロッパーであるみなさんだ。Microsoftがこのファンドをサポートできることには、とても感激している」。

投資対象に選ばれた企業は新しいOpenAIのシステムへのアーリーアクセスとMicrosoftのAzureのリソースを使えるようになり、より本格的な研究開発ができる。OpenAIは、投資対象企業の所有権や、スタートアップに求める要件、その他の出資パートナーの参加など、詳細を明らかにしていない。現在、決まっているのは1億ドルという数字だけということもありうる。

申請はとても簡単であり、非常に多くの申請件数を期待しているのかもしれないが、自身の企業をこの渦中に投じたい人は、まずエレベーターピッチの準備から始めよう。申請には1分間の動画も必要だが、デモや音楽やエフェクトは不要だ。OpenAIがまだその詳細を明らかにしていない審査員たちにとって、それを見ることが審査の最初のふるいになるだろう。Zoomの背景は、まだ外さない方が良さそうだ。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:MicrosoftMicrosoft BuildMicrosoft Build 2021OpenAI

画像クレジット:OpenAI

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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