Otonomoが1200万ドルを調達、コネクテッドカーのデータ標準化サービスを展開

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自動運転車が私たちの日常生活に浸透しているとはまだ言えないものの、インターネットに接続された車の数は急速に増えている。

路上を走る車の5分の1、そして世界中で新たに製造される車のほとんどが、2020年までにワイヤレスネットワークに接続されるようになるとGartnerは予測する。一方で、現在世に出ているコネクテッドカーのデータを有効活躍できている組織はほとんど存在しない。

イスラエルのヘルツリーヤ(Herzliya)に拠点を置くOtonomoが、その状況を変えようとしている。

同社のシステムは、数々の自動車・自動車部品メーカーから集めた、車両やドライバーに関するデータを収集し標準化している。そのため、さまざまな企業がそのデータを利用してドライバーについて学んだり、新しい製品やサービスをドライバーに提案したりできるのだ。

Otonomoはこの度1200万ドルを調達し、この資金は同社のテクノロジーや事業の拡大に利用される予定だ。Bessemer Venture Partnersがリードインベスターとなった今回のラウンドには、StageOne VenturesManiv MobilityLocalGlobeが参加した。

資金調達のほかにもOtonomoは、元GM副会長のSteve Girksyと元OnStarジェネラル・マネージャーのMary Chanを顧問として迎えたと発表した。さらに、元AT&T Business Solutions CEOのAndy Geisseも同社の取締に就任した。

Bessemer Venture Partnersでヴァイスプレジデントを務めるAmit Karpは、車メーカーのほかにも保険、スマートシティ、交通・輸送、ファイナンスといった自動車の周辺業界は、Otonomoのサービスを新しい製品やサービスの開発に利用することができると話す。

OtonomoのCEO兼共同ファウンダーであるBen Volkowは、ディベロッパーや企業が扱いやすいデータを提供することで、コネクテッドカーから収集したデータがさまざまな場面で有効活用されるようになると話す。

例えば市役所であれば、大都市のドライバーの行動を研究することで、電子標識や信号の利用法を最適化し、より安全な道路環境を築くことができる。また、スターバックスやダンキンドーナツ、マクドナルドといった企業であれば、長時間運転を続けていて、どこかの店舗の近くにいるドライバーに対してクーポンを届けることができる。また、保険査定員であれば、ドライバーのセルフレポートを待つのではなく、車から直接データを入手することで、事故が起きた時の請求処理がスピード化する。

「ある企業やディベロッパーが、コネクテッドカー向けのサービスを開発したいと考えているとしましょう。通常彼らは、直接自動車部品メーカーを訪れて、入手したデータを標準化してから車メーカーと契約を結ばなければいけません。しかし、Otonomoがその間に立つことで、彼らの手間を省くことができるんです」とKarpは語る。

さらに彼は、Otonomoの存在をオンラインペイメントのStripeや、通信のTwilioに例えていた。

Otonomo CEOのVolkowによれば、今回の調達資金は、増員や研究開発、主要自動車・自動車部品メーカーとの関係強化に使われる予定だ。

コネクテッドカーから入手したデータを第三者に提供する上で重要なのが、地方自治体や州、国家レベルの法律・規制、さらにはさまざまな企業のポリシーに沿った形で情報を公開するということだ。

「Otonomoのポリシーエンジンには何百種類ものルールが設定されているほか、弁護士との協業を通して私たちは関連規制・法律も心得ています。外部へ積極的に情報公開を行っている自動車メーカーであれば、私たちは全てのパラメーターをチェックし、詳細をぼやかして匿名性を高めますし、限定的な情報公開しか行っていない場合でも、誰のプライバシーも侵さず、法規制に則った形で情報提供を行います」とVolkowは話す。

さらに、自動車メーカーがユーザーデータのテコ入れを行う中、Otonomoはそれを補助するような役割を担っているため、各メーカーが同社と仕事をしたがっていると彼は語る。またVolkowによれば、GoogleやAppleといった大手テック企業が自動運転車や関連システムの開発に力を入れている一方、Otonomoが提供するサービスは自動車メーカーの中核事業とは競合しない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

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TechCrunch Japan

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