PayPalがGoFundMeの買収を検討中か

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昨年eBayからスピンオフした巨大デジタルペイメント企業のPayPalと、クラウドファンディングビジネスの関係にはこれまでがあった。しかし、今後その関係性が変わることを示唆するような出来事がおきている。PayPalがGoFundMeの買収に興味を持っており、買収金額が10億ドルを越える可能性があるとの情報をTechCrunchは入手したのだ。GoFundMeは、真剣なものから気軽なものまで、さまざまなキャンペーンを扱っているクラウドファンディングプラットフォームを運営している。

両社の間で買収話がどこまで進んでいるかや、そもそもこの話が現在も行われているかについては明確ではない。

GoFundMe・Paypal共に、噂や推測に基いた質問にはコメントしないと話している。投資家など私たちが他に連絡をとった人たちも、本件についてはコメントしなかった。どうやらこの話は上層部でのみ行われているようだ。

2008年にサンディエゴで、Andrew BallesterとBrad Damphousseによって設立されたGoFundMeは、これまでに目覚ましい成長を遂げてきた。Kickstarter・Indiegogo・Tiltといった企業と競合している同社は、2015年に唯一と言ってもいい大型の資金調達を行った。調達額は不明だが、AccelとTechnology Crossover Venturesがリードインベスターとなり、Iconiq CapitalやGrelock、Meritechもラウンドに参加していた。さらにその1ヶ月後には、StripesもGoFundMeに投資していたことが分かった。

その際の契約の一環として、投資家が株式の過半数を保有し、ファウンダーのふたりは経営を担うポジションから外れることになった。そして、新たにAccelでベンチャーパートナーを務めるRob Solomonが同社のCEOとなり、GoFundMeのバリュエーションは約6億ドルに達した。当時GoFundMeは、毎月1億ドルにおよぶプラットフォーム上のさまざまなキャンペーンに集まった資金を決済し、年間300%の成長を遂げていると推測されていた。

PayPalにとって、クラウドファンディングサイトとの関係深化や、クラウドファンディング企業の買収というのは(驚きだとはしても)面白い展開だろう。

今年に入ってからPayPalは、クラウドファンディングプラットフォーム上での支払に対する購入保障(Purchase Protection)を取りやめた。同社とクラウドファンディングコミュニティの関係は不安定で、アカウントが凍結されたという有名な話もある。PayPalサイドが問題視しているのがリスク管理で、特にクラウドファンドの寄付者がお金を返してほしいと思ったときに、PayPalに返金義務があるかどうかという点だ。

GoFundMe上では、既にPayPalは支払手段のリストから消え、StripeとWePayの組合せに置き換わっている。この二社のサービスを使えば、利用者がデビット・クレジットカードを使ってキャンペーンページから直接資金提供でき、さらにGoFundMeも支払プロセスにもっと関われるようになると、同社は変更の理由について話す。

今月GoFundMeは、購入保障の問題を自分たちで解決することにし、寄付者と資金調達をしている人に対して、独自の限定保証制度を提供しだした。この保証のもとでは、キャンペーンに何か問題が生じた際に、寄付者と資金調達をしている人の両方が、1000ドルから2万5000ドルの保証を請求することができる。なお、現状この保障制度はアメリカとカナダでしか利用できない。

しかしPayPalがクラウドファンディングに再び目を向け、もしかしたらこれまでよりも深く、真剣に関わってかもしれないのには理由がある。

まずGoFundMeは、利用者の目標や成果に対する資金を集めることに注力しており、キャンペーンの内容や資金使途については物議をかもすことがあったものの、寛容さや善意をもった人を惹きつける力を持った強力なプラットフォームだ。利用者からの人気も高く、”お金の印刷工場”と例えられることもあったほどだ。

また、PayPalは買収後もGoFundMeを別会社として存続させることができる。もっと戦略的なスタイルをとるとすれば、GoFundMeはPayPalの既存ビジネスを上手く補完できる力をもっている。既存ビジネスの例としては、現在も続いているeBayへのペイメントサービスの提供や、オフラインでの支払、Braintreeを経由したサードパーティーアプリでの支払、P2Pペイメントなどが挙げられる。

大人気のクラウドファンディングプラットフォームと連携すれば、PayPalは決済数を伸ばすための新たなチャンネルが獲得できる上、大量の新しいユーザーを呼ぶこむことができるかもしれない。

読者の方は恐らくFacebookのニュースフィード上で、感動的なものから趣味の悪い変なものまで、既にたくさんのGoFundMeキャンペーンを見たことがあろうだろう。GoFundMeによれば、すべてのキャンペーンを合わせると、2015年5月までに2500万人の寄付者から合計20億ドルが提供された。

他の商業プラットフォームと同様、GoFundMeは決済金額の5%を手数料として設定しており、その他にも少額のサービス料から収益をあげている。サイトは基本的にSNSのような形で運営されており、(現時点では)社外のペイメントプロバイダーを利用していることから、諸経費は低く抑えられている。このようなビジネスの粗利益はとても大きい可能性が高い。

そしてGoFundMeはPayPalと統合されることで、もっとその価値を高めることができるかもしれない。

追加レポート:Katie Roof

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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