Peatixがチケット販売代金の事前払い出しに対応、会場費や謝礼など捻出に苦労する主催者向けに

イベント管理・決済サービスの「Peatix」は決済機能の強化として新たに2つの施策を発表した。1つは、これまで15カ国9通貨対応だった決済に、11カ国3通貨を追加したこと、もう1つはイベントのチケット販売代金をイベント当日より前に払い出すサービスだ。

これまでPeatixの決済機能の国際展開としては、日本、アメリカ、アジア、オセアニアを中心に15カ国、9通貨に対応していたが、今回新たにオーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、スペイン、カナダ、イギリス、中国に対応。通貨としてユーロ、カナダドル、英国ポンドに新たに対応した。この施策は、TEDxなどグローバルで広がるイベントコミュニティからのリクエストに応えたものといい、すでにカナダ・トロントで開催されるTEDxYorkUでの利用が決定しているそうだ。これで26カ国12通貨に対応したことになるという。

もう1つの新施策は「イベント事前払い出しサービス」の開始だ。これまでイベントのチケット販売代金の払い出しはイベント後5営業日以内となっていたが、これをイベント前に払い出すサービス。会場費やケータリング代、登壇者への謝礼などイベントの当日に発生する代金の捻出に苦慮する主催者からの問い合わせが多数寄せられたための日本国内限定のサービスだという。Peatixの手数料は通常は2.9%+70円/注文だが、事前払い出しサービス利用の場合は6%+70円/注文となる。ちょっと高くなるのはイベントが開催されないリスクに対するものという。個人の集まりなど草の根的に運営するコミュニティベースのイベントでは重宝するサービスだろう。事前払い出しサービスの利用には、事前審査が必要で、払い出し上限は50万円までとなっている。

Peatixは元々プロの興行で使われるようなチケット販売サービスよりも、勉強会やパーティーなど小規模イベントという新市場をターゲットとしてきたので、今回の施策はこうしたイベント市場の変化・成長を捉えたものといえる。チケット販売手数料による収益化ではなく、ロングテールの小規模イベントを量で抑えて中小のスポンサーのマッチングなど周辺ビジネスでマネタイズしていくのがPeatixのビジネスモデルの核にある。小規模イベントを開催することでスポンサーが獲得でき、「Peatixを使ったら手数料が徴収されるどころか広告費でプラスになった、というのが目指す世界」(Peatixマーケティングッマネージャー庄司望氏)としている。スポンサーマッチングについては、すでにテスト的な取り組みは始めているようだ。

Peatixは2012年7月に500 Startups、DG Incubation、伊藤忠テクノロジー・ベンチャーズ、SuveyMoneyのCEOであるDave Goldbergeなどの投資家から100万ドルのシード資金を調達。その1年後の2013年7月にはシリーズAラウンドとして300万ドルを調達してアメリカとシンガポールに進出している。現在までPeatixで取り扱ったイベント数は1万5000件以上となっているという。


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TechCrunch Japan

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