Phantom Autoの遠隔操作フォークリフトがGeodisとの提携でフランスに到着、自動運転車から物流にピボット

世界的な物流企業であるフランスのGeodis(ジオディス)は、数百キロ、時には数千キロ離れた場所にいる人間のオペレーターが遠隔操作できるフォークリフトの導入を促進するため、スタートアップのPhantom Auto(ファントム・オート)と提携した。

Geodisによると、この技術を利用することで、オペレーターの疲労やそれによる怪我を減らし、倉庫内にいる人間の数を減らすことを目的としているとのこと。遠隔操作式フォークリフトの使用は、従業員に取って代わるものではなく、働く場所を置き換えるものだという。都心から離れた場所で事業を展開することが多いGeodisにとって、このようなディテールは魅力的だ。

Geodisの西ヨーロッパ・中東・アフリカ事業CEOであるStéphanie Hervé(ステファニー・エルヴェ)氏は、TechCrunchの取材に対し、遠隔操作のフォークリフトを使用することで、身体障害者を含む新しい労働者グループを獲得することができると述べている。この意図は、労働者を他国にアウトソースすることではなく、地域内でより多くの労働者を見つけることにあるという。

このパートナーシップの下、Phantom Autoの遠隔操作ソフトウェアがKION Groupのフォークリフトに組み込まれた。フォークリフトには双方向オーディオが搭載されており、Geodisが「デジタルドライバー」と呼ぶ遠隔オペレーターは、倉庫内の同僚とコミュニケーションを取ることができる。

画像クレジット:Geodis

Phantom AutoとGeodisは、2年以上前からフランスのルヴァロワとルマンでパイロットプログラムを実施し、協力関係を築いてきた。今回の発表は、Phantom Autoにとって有益になり得る、より深い関係の構築を示している。

当初はフランス国内での展開を予定している、とエルヴェ氏は語った。今のところPhantom Autoのソフトウェアは、最初のパイロットサイトであるルヴァロワとルマンでフォークリフトの遠隔操作に使用され、向こう1年の間にフランス全土に拡大していく予定だ。Phantom Autoの共同設立者であるElliot Katz(エリオット・カッツ)氏によると、初期の2つの拠点で働くGeodisの従業員は、すでにフォークリフトを遠隔操作するトレーニングを受けているという。

Geodisのフットプリントはフランス国内にとどまらない。同社は、120カ国に約16万5千の顧客を抱えている。世界各地に300の倉庫を所有し、Amazon(アマゾン)やShopify(ショッピファイ)など、他の何千もの顧客にもサードパーティロジスティクスサービスを提供している。

Phantom AutoがGeodisと提携したことは、同社が当初注力していた自律走行車以外のビジネスを模索していることの一例だ。2017年に設立された同社は、フォークリフトやロボット、トラック、乗用車などの無人車両のフリートを遠隔で監視して介入するための、車両に依存しないソフトウェアを開発した。

同社はAV(自律走行車)業界に隣接している。AV事業者が遠隔操作の必要性を公に語ることはほとんどないが、ロボタクシーを商業的に展開する際や、その他のAVアプリケーションに必要なサポートシステムとして捉えられている。しかし、自律走行車の開発者たちが技術を商業化するためのスケジュールを先送りにしたため、Phantomは新しい分野に進出したのである。

これまでに2500万ドル(約27億7000万円)を調達したPhantom Autoは、歩道、倉庫、貨物ヤードなど、今日、自律走行や遠隔操作が導入されている場所を対象とした物流事業を展開している。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Phantom AutoGeodis物流遠隔操作フランス

画像クレジット:Geodis/Francois Bouriand

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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