Pinterestが広告ポリシーを改訂、減量を促す言葉や画像は掲載禁止に

Pinterest(ピンタレスト)は7月1日以降、すべての広告で減量を促進する言葉と画像の掲載を禁止する。これには、減量に関する言葉や画像、減量やダイエット商品の宣伝、特定の体型を理想化または否定するような言葉や画像、BMI(健康状態を示す指標としては不十分なことが多い)を参照することが含まれる。主要なソーシャルメディアの中で、このような姿勢を取ったのはPinterestが初めてだ。

ソーシャルメディアは、それが誕生して以来ずっと、人にとって有害な「美の基準」を助長する役割を担ってきた。「ボディポジティブ」という言葉が、10年前にTumblr(タンブラー)で流行した「シンスポ(thinspo、痩せる努力を鼓舞すること)」に取って代わった今でも、そのトレンドが体重偏重主義を薄いベールで覆い隠していることさえある。例えば、Weight Watchers(ウエイト・ウォッチャーズ)という会社は、2018年に「Wellness that Works(効果のある健康)」を意味する「WW」にブランド名を変更したが、同社のウェブサイトでは会員の減量話の自慢を続けている。減量に関するオンラインコンテンツが善意のものであっても、それは健康的な習慣よりは乱れた食行動の増加を助長することが多く、ウェルネス産業が有害である理由となっている。

Pinterestは、これまでTumblrやFacebook(フェイスブック)などのプラットフォームとも協力してきた全米摂食障害協会(NEDA)の指導と助言を受けて、改訂した広告ポリシーを策定した。米国で新型コロナウイルス感染流行が発生した2020年3月以降、NEDAは摂食障害に悩む人々のための相談窓口にアクセスが増加していることを確認した。Vox(ヴォックス)のRebecca Jennings(レベッカ・ジェニングス)氏が指摘するように、ロックダウン中に人々はさらに多くの時間をオンラインで過ごすようになり、それはつまり、自分自身のことを悪く思わせるコンテンツに触れる機会が増えたことを意味する。TikTok(ティックトック)で有名な16歳の女優Sissy Sheridan(シシー・シェリダン)氏でさえ「私はTikTokをダウンロードする以前は、自分の身体が好きだった」とツイートしている。

画像クレジット:Pinterest

Pinterestの新しい広告ポリシーは、特に他の主要なプラットフォームが追随する前例となれば、明らかな変化をもたらす可能性がある。ソーシャルメディアのプラットフォームには、自社のアプリ上で起こる有害な行為を最小限に抑える責任があるが、新しいポリシーはどこまで影響を与えることができるだろうか? Pinterestの報告によれば「body neutrality(ボディ・ニュートラル)」の検索数は2020年の5倍に増加したという。これは、トレンチコートを着たダイエット文化に過ぎない「body positivity(ボディ・ポジティブ)」運動に代わる考え方だ。しかし、特にTikTokのようなアルゴリズムを駆使したアプリでは、自分の「For You(おすすめ)」ページに表示されるコンテンツを常にコントロールできるわけではない。料理が好きな人であれば、TikTokは料理の動画を表示しようとするが、AIはそれほど賢くないので、プロフィールに「減量」と書かれた料理アカウントをフィルタリングすることができない。Pinterestは最近、TikTokの競合となる独自の機能を導入した。もちろん、Instagram(インスタグラム)は2020年追加された「Reels(リール)」という機能で、TikTokの成功を横取りしようとしている。

Pinterestの広告ポリシー改訂は良いことの始まりであり、他のプラットフォームが追随すれば初めて良い影響を与えることができるものだ。しかし、ソーシャルメディアは我々の文化を反映するものだから「減量」と「健康」は同義ではないと理解する文化的な変化が拡がらないと、広告ポリシーの改訂だけではその力にも限りがある。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Pinterestソーシャルメディア広告ダイエット

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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