Popcorn Timeはハリウッドの最悪の悪夢, しかも誰にも止められない

かつてのNapsterが、何百回もクローンされていたら、どうだっただろうか? ‘NapsterStanford’や‘NapsterMIT’や‘Napsterあなたの高校’などなどがあって、いずれも完全独立で、しかもオリジナルと同じく強力だったら? Shawn FanningとSean Parkerがソースコードを公開して、誰もがそのソフトを作れるようになっていたら? つ・ま・り、Napsterがオープンソースだったら?

RIAAは、何千もの敵と戦うはめになり、そして、負けただろう。

ビデオの海賊行為が、そんなNapster的瞬間を迎えようとしている。先週、Popcorn Timeと呼ばれる一片のソフトウェアが出現した。それを使うと、Netflixと同じように簡単に、海賊版の映画を見ることができた。完全に無料で、会員登録などもない。見たい映画をクリックするだけだ。

Popcorn Timeによって、海賊版のコンテンツを視ることが、Napsterで曲をダウンロードするのと同じぐらい容易になった。ハリウッドにとって、悪夢だ。

Popcorn Timeの原作者たちは、このアプリケーションは完全に合法だ、と強く主張している。ユーザもアプリケーションも誰も、映画を“保有”しないからだ。インターネットが、それらを保有している。ただし、このアプリケーションは立ち上げ後の最初の画面で、不確定な部分がある、と断わっている。

しかし厳密に言うと海賊行為とは、作品のニセモノを作ることだ。それは、どんなジャンルの作品でも、絶対的に悪いことだ。Popcorn Timeは、映画のコピーを作ってそれらをストリーミングしているわけではない。

RIAAは巨額な戦費を投じてNapster世代と戦い、ついにiTunesが‘盗む’を‘買う’に変えたことによって、戦いは終わった。Appleは最新の音楽をどこでもいつでも聴けるようにしたので、音楽の海賊世代の意識を、海賊行為ではないものに向けさせた。

今、映画の海賊行為は古い映画が中心だ。消費者は、適正な価格でオンデマンドのコンテンツを求める。NetflixやAmazon Video、Huluなどの大成功はそのことを証明した。でも、これらの合法的なサービスには、最新ヒット作がない。大ヒット作の続編とか、ディズニーの最新作などは、ブルーレイディスクで買うか、あるいはPirate Bayからダウンロードする。あるいは、HBO〔WowWowみたいなケーブルテレビ〕に登場するのを数か月待つ。

Popcorn Timeは単なる始まりであり、海賊版コンテンツに容易にアクセスできる方法としても、初めてのものではない。そのプログラムはすべてGitHubにあり、誰もがアクセスして自分でビルドできる。既存の人気海賊映画サイトのAPIを使っているが*、そこは今のところ、MPAA(アメリカ映画協会)にチェックされていない。Popcorn Timeはいわば、コミュニティが動かしているプロジェクトに、きれいなインタフェイスを着せただけのものだ。〔*: いったん‘死んだ’Popcorn Timeは、APIの提供者によって復活した(記事未訳)。〕

ここには、ハリウッドの弁護士たちの攻撃のマトになるようなもの〔被告となりうる実体〕が、何一つない。デベロッパたちはアンダーグラウンドから自分の作品を複数の名前で配布できる。無料だし、広告も入らない。Popcorn TimeはビデオのNapsterだが、ビジネスになろうとしていない。あくまでも、オンラインのゲリラ戦の典型に徹しようとしている。

それに、Popcorn Timeだけでなない。FliXanityはNetflixのルックスを真似て、海賊コンテンツを(低解像度で)ストリーミングしている。AndroidアプリMovieHiveは、揃えている映画の数や使いやすさではPopcorn Timeに負けていて広告もあるが、でも使える。海賊コンテンツのストリーミングは、無料だ。

ほかにもある。これからも、新顔が続々出てくるだろう。

Popcorn Timeはすでにフォークされている。最初のデベロッパがプレッシャーに負けてサイトを閉鎖して以来、新しいチームが肩代わりした。プログラムは前と変わらず良質だ。

海賊も合法的配布も、これからの映画はストリーミングが主流になる。Popcorn Timeがまたコケても、今後クローンはいくらでも出てくる。彼らの成長を抑える唯一の方法は、ハリウッド自身がストリーミングを開始することだ。Popcorn Timeの、これだけの人気と急成長を見たら、彼らもいいかげん、気がつきそうなものだが。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))