モバイルPOSレジを”ハブ”にしたビジネスを――リクルートのAirレジがSquareと連携

導入にコストのかかる既存のPOSレジ置き換える、タブレットを活用したクラウド型のモバイルPOSサービスが増えている。ユビレジの「ユビレジ」、プラグラムの「スマレジ」など、スタートアップの製品に注目が集まっているが、NECのような大手ベンダーも3月から「NEC モバイルPOSソリューション」を開始するなど、競争は激化している。

リクルートグループもモバイルPOSサービスに参入しており、2013年11月にリクルートライフスタイルから無料のモバイルPOSレジサービス「Airレジ」を発表している。同サービスはすでに3万アカウントのユーザー登録があるという。現在は100人体制で開発。200人で導入を進めており、2015年3月時点で10万アカウントの獲得を目指している。

ではなぜリクルートグループがPOSレジ事業に参入したのか? それも無料で、だ。

POSレジサービスはメディアの様な“ハブ”に

これについてリクルートライフスタイル代表取締役の北村吉弘氏は、「Airレジは人と店舗を繋ぐ“ハブ”のようなものであるから」という言葉で説明する。かつて飲食店情報のフリーペーパー「Hot Pepper」や、旅行情報誌「じゃらん」などを発行し、メディアという“ハブ”を通じて送客ビジネスを展開してきた同社。モバイルPOSレジサービスも、「顧客と店舗を繋ぐ」という意味ではメディアのようなハブとして機能するものであり、その普及のためにサービスを無料で提供。さらにはiPad Airの店舗配布も進めているという。単体で収益化することは考えていないそうだ。

今後はHot Pepperなど、グループで提供する各種サービスとの連携も予定する。Airレジは座席の管理機能があるので、もし空席があればその空席に対して連携するサービスを使ってリアルタイムで送客するという世界感を目指す。

北村氏はAirレジを無料で提供する理由について「Airレジはハブのようなものであるから」と説明する。これまでメディアというハブを通じた送客ビジネスを展開してきた同社。モバイルレジサービスもそれと同じようなハブとして考えたため、サービス無料、さらにはiPad Airの店舗への提供も進めているという。同日開催された記者会見では、北村氏は「店舗の業務負担を下げることで経営支援をしていく」と強くアピールした。

Squareがらからのオファーで提携

そんなAirレジだが、ユーザーからもっとも大きかった要望が「Airレジ上からシームレスなカード決済への対応」だったという。前述のユビレジでもモバイル決済サービスの楽天スマートペイと、スマレジもゼウスとそれぞれ提携し、カード決済サービスを提供している。リクルートライフスタイルは3月5日、Squareと提携し、3月下旬よりAirレジアプリ上からSquareを利用したカード決済ができるよう対応をすると発表した。

連携の詳細はこうだ、Airレジのアプリ上で通常どおりレジ業務を行い、最後にSquareでの決済を選択すれば、そのままアプリ内でSquareの決済機能が起動する。あとはイヤフォンジャックに差したSquareのカードリーダーでクレジットカードを読み取り、カードの所有者が画面にサインをすればいい。なお、利用にはAirレジのアカウントに加えてSquareのアカウントが必要となる。

実は今回の提携だが、筆者が聞いたところによると、Square側が打診したものだという。Squareカントリーマネージャーの水野博商氏は、「これまでSquareの販売パートナーなどはいたが、ここまでミッションを共有できた企業はいなかった」とリクルートライフスタイルについて語る。提携を打診したのは2013年12月で、そこから3カ月というスピードで今回の発表に至った。

リクルートライフスタイルでは、今後もAirレジで協業できるパートナーを積極的に探していくとしている。


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TechCrunch Japan

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