PS4でSonyは土俵際に立つ, くたびれた戦略と変化への盲目

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SonyのPlayStation 4が今日(米国時間2/20)派手にデビューした。そのプレゼンテーションは、電子企業でもありメディア企業でもあり、しかも大ヒットしたビデオゲームのプロデューサーでもありパブリッシャーでもある同社ならではの、大がかりな演出が凝らされていたが、しかしその華麗さは傷心を隠していた。Sonyの2012FYの決算は58億ドルの損失を計上し、ハードウェアPS3、 PSP、PS2はどれも売上が前年よりダウンした。そしてMicrosoftが家庭用メディアセンターという守りの切り札を使ってきた今日このごろ、ゲーム専用機の未来は、投資機会としてもいよいよ露骨に危うい。

Sonyが今日披露したものは、次世代のゲームプラットホームではない。それは、今の、変化してやまない世界に、企業としていかに対応するか、という問いへの答だ。しかしその答は、あなたが期待したものではなかったかもしれない。Sonyは、脱リビングルーム、ゲーマー中心主義を掲げた。しかし同社が10分の時間を費やして語ったのは、ハードウェアとそのスペックに関してだ。その後、クラウドゲームについて少し語り、一連のゲームのデモへとプログラムは進んだ。そのデモは、およそゲームのデモというものの定番のような作りで、見る人をエキサイトさせない。

弱みはほかにもあった。それは、優れたグラフィクスという衣裳をまとっていた。カーレースのシミュレータがデモされ、それは何か革新的なチームプレイができるらしい。でもそれのデベロッパは、スウェードのテクスチャを見せることだけに、力を注いでいた。次に、Sucker PunchのInfamousのスピンオフゲーム。ミュータントが登場するそのゲームは、Infamousの最初の二つのタイトルはぼくも本当に好きだから、ほどほどにクールだった。それからインディーのゲーム。それらは、変化があるぶんAAAのタイトルよりはおもしろかった。そして、毎度おなじみの真打ち: Square Enix、Ubisoft、Blizzard(Diablo III)、Bungie(新作)などなどのご登場。という次第で、全体としてのメッセージは明確だ: Sony PS4は大転換ではなくて既存種の進化、すなわち、今ゲーム専用機は、昔持っていた意味を失ってしまった、ということを、物理的に表現した製品だ。

以下は、今日のSonyの巨体のごときプレゼンテーションへの反応の例だ。ぼくだけが意地悪な皮肉を言ってるのではない、とお分かりいただけるだろう。

[ツイート訳: どのゲームもパーティクルレンダリングの技術的デモみたいだね。もしかして、名前もParticleStation 4に変わったんじゃないの?]

[ツイート訳: これで、任天堂とSonyの違いがはっきりしたね。任天堂はゲームの仕組みを重視しているが、Sonyはグラフィクスにしか関心がないようだ。]

そのあと、Moveコントローラが出てきた。やめとけ、Sony。MoveコントローラがPS4によって救われる、と考えているのなら、あんたの頭はおかしいよ。今や、ハンズフリー(hands-free, 手を使わない)のKinectの時代だろ。ゲームのコントローラは人の体の動きを追う、というイノベーションの時代だ。人びとが、端にボールのついた棒で3Dの像を作る、と考えているのなら、あんたは完全な狂気だ。何か違うものを持ち出すのならともかく、(おそらく他社の)既存のツールでもっと良くできるものを、今さら持ち出したってしょうがない。Moveに関しては、それを放棄して損失を減らすことが、ベターな戦略だったはずだ。

Sonyに欠けていたものは、もっと幅広くアピールするデバイスを作るための議論だ。Sonyには、ストリーミングメディアのパートナーが必要だった。IPTVをやりたいと喉から手を出しているケーブルや衛星のプロバイダたちだ。そういう統合なら、モバイルデバイスとの接続も、ちっちゃな画面に古いゲームと売れ残りのソーシャル機能、ではないものになるはず。つまり最小限必要なのは、それらをすべて盛り込んだ物理デバイスだ。そして、“Holiday 2013″(今年のクリスマス商戦)なんか、あてにしない大きな自信。同じ意味で、グラフィクスに、アイ(eye)キャンデー(目のための飴)に、パーティクル技術のデモに、商品価値があると錯覚しないこと。ゲーム業界がそれらに依存したのは、過去のことだ。でも、どれだけ高度なグラフィクス技術に凝っても、iOSやAndroidなどから押し寄せるモバイルという大津波には勝てなかったことから、旧専用機勢力は深刻に学ぶべきだ。

sony playstation 2013

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))