Qualcommがマグナを退け、先進運転支援技術を手がけるヴィオニアを約5000億円で買収

Qualcomm(クアルコム)が、スウェーデンの自動車技術会社Veoneer(ヴィオニア)を買収することに決まった。より高い入札額を提示して、Magna International(マグナ・インターナショナル)を退けたことになる。

クアルコムと投資グループのSSW Partners(SSWパートナーズ)は、米国時間10月4日、ヴィオニアを1株あたり37ドル(約4100円)、総額45億ドル(約5000億円)で買収すると発表した。買収が完了したら、SSWはヴィオニアのArriver(アライバー)技術(センサーとソフトウェアを含む先進運転支援システムスタック)をクアルコムに売却し、他のティア1サプライヤー事業は維持すると述べている。

ヴィオニアは以前、マグナ社へ自社を売却することに合意していた。社がマグナより18%すなわち8億ドル(約890億円)高い金額で入札を行うまで、この取引は前進するかのように見えた。しかし、クアルコムの時価総額1648億ドル(約18兆3000億円)に対し、253億ドル(約2兆8000億円)のマグナは応札しなかった。

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これはクアルコムにとって、2021年最初の大型買収というわけではない。同社は半導体や通信機器の設計・製造で知られているが、現在はその事業領域を拡大しつつある。1月には、高性能コンピューティングのスタートアップ企業NUVIA(ヌビア)を14億ドル(1560億円)で買収することで合意し、通信以外の市場を模索していた。今回の買収は、自動車メーカーが当たり前のように新車に搭載するようになっているADAS(先進運転支援)技術にとって、特に好材料のニュースと言えるだろう。

クアルコムがヴィオニアの買収提案を行ったのは、マグナの提案から約1カ月後のことだったが、まったくの驚きというわけではなかった。両社は2021年の初めに、運転支援システム用のソフトウェアとチップを開発するための提携を結んでいたからだ。

ヴィオニアは買収合意を解消することになったマグナに対し、1億1000万ドル(約122億円)の違約金を支払う。この買収の完了は2022年になる見込みだ。

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画像クレジット:Veoneer

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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