QuiqがSnapを買収、事業者向けの顧客メッセージプラットフォームを構築

一見すると、Quiq(クイック)とSnaps(スナップス)は似たようなスタートアップだと思うかもしれない。両社とも事業者がテキストメッセージや他のメッセージアプリを通じて顧客とやり取りするのをサポートしている。しかしSnapsのCEOはChristian Brucculeri(クリスチャン・ブルキュレリ)氏は「我々が行っていることに重複はほとんどありません」と話し、両社は「ほぼ完全な補完関係にある」とした。

だからこそQuiq(モンタナ州ボーズマン拠点)はSnap(ニューヨーク州拠点)を買収する。SnapのチームはQuiqに加わり、ブルキュレリ氏は合併会社の販売・顧客サクセス担当上級副社長になる。

QuiqのCEO、Mike Myer(マイク・マイヤー)氏は、床にあるジグソーパズルの2つのピースを投げ捨てる状況と、「ピッタリと合う2つのピース」を発見した状況を比較し、ブルキュレリ氏の指摘を繰り返した。

より具体的に言うと、Quiqは一般的には「DIYのツールセットアプローチ」で顧客サービスメッセージングを専門としている、とマイヤー氏は筆者に語った。結局、同社は2人のテクニカルな共同創業者によって創業され、「我々はなぜ顧客がAPIを呼び出せないのか理解できません」と同氏はジョークを言った。一方のSnapは、顧客のためにテクニカル的な作業を引き受ける管理されたサービスというアプローチでマーケティングのやり取りにフォーカスしてきた。

加えて、QuiqはApple Business Chat、GoogleのBusiness Messages、Instagram、Facebook Messenger、WhatsAppを含む1ダース超のメッセージチャンネルとの統合など「最初からプラットフォームの要素に本当にフォーカスしてきた」一方で、Snapのような「ディープ自然言語や会話的なAI能力」は持っていない、とマイヤー氏は話した。

同氏は、Quiqのサービスに対する需要は急激に増え、2020年下半期の売上高は前年同期に比べ300%超増えたと述べた。同時に、サービスチームはますます売り上げ目標を与えられ、マーケティングと顧客サービスの部門の区分がなくなり始めていて、「よりコマースにフォーカスした若い組織ではマーケティングと顧客サービスの差異化を図るものはない」と示唆した。

どうやら2社はすでにInstagramでのダイレクトメッセージのための合体したサービスの創造で協業していて、これは2つのプロダクトをいかに合体するかについての幅広い議論につながった。今後、2社はQuiqブランド下でさまざまな顧客のための合体したプラットフォームを提供する(Quiqの顧客にはOverstock.com、West Elm、Men’s Wearhouse、Brinks Home Security、一方Snapsの顧客にはBryant、Live Nation、General Assembly、Clairol、Nioxinが含まれる)ブルキュレリ氏は合体したプラットフォームでは事業者に「フルカスタマージャーニー」にわたる会話を管理できる1つのプロダクトを提供する、と話した。

「あなたが耳にする鍵となる言葉は会話です」とマイヤー氏は付け加えた。「チケットやケース、質問についてではありません。続いている会話です」

SnapsはSignal Peak Venturesなどの投資家からこれまでに計1300万ドル(約14億円)を調達した。買収の条件は明らかにされなかった。

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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