Rettyが食べログに“ガチ”の勝負を仕掛けてきた——月間ユーザー数は1000万人に

2020年には世界1億ユーザーを目指す——グルメサービス「Retty」を手がけるRetty代表取締役社長の武田和也氏は、7月2日に開催された事業戦略発表会でこう語った。

Retty代表取締役社長の武田和也氏

Retty代表取締役社長の武田和也氏

発表会は、武田氏がRetty設立の経緯やサービスの概要を話した後、CFOの奥田健太氏がサービスの状況を説明。その後武田氏が改めて今後の戦略を語るという構成で進められた。

Rettyは創業期から、ぐるなびや食べログといったこれまでに登場したグルメサービスについて、「競合ではない」といったニュアンスで話すことが多かった。

だが今回、名前こそ出さないものの、明確に競合サービスと自社サービスを比較する内容のプレゼンテーションを繰り広げていたことが印象的だった。ちなみに質疑応答でYelpに関しては「グルメに関する口コミは全体の3割。競合ではない」(武田氏)と語っていた。

MAUは1000万人に、東京での月間口コミ数は競合を超えた

奥田氏のパートは、グルメサイトの変遷から始まった。グルメサイトの第1世代は豊富な営業力を背景に店舗から掲載料をもらってサイトを作るというもの。奥田氏は明言はしなかったがぐるなびやホットペッパーなどがこの世代のサービスだ。これらのサービスは「極端な話、どの飲食店も魅力を伝えているので、ユーザーはどのお店に行けばいいのか分からない」(奥田氏)とサービスの課題について語る。

第2世代のサービスは、ユーザーがレビューし、お店に点数を付けるというもの。これまた奥田氏はサービス名を明かさなかったが、ようは食べログのことだ。奥田氏はこの第2世代のサービスについて、「問題点というか課題をはらんでいる。味やお店の好みは千差万別だが、あらゆる人が同じランキングを見ながらお店を探している」とした。

では第3世代のRettyの強みはというと、ソーシャルの「つながり」から自分の好みを見つけていることだという。第2世代のサービスが「批判・匿名」であるのに対して、第3世代のRettyは「おすすめ・実名」が中心。その結果、ポジティブなレコメンドが並んでいると語る。

第3世代までのグルメサービスを説明するRetty CFOの奥田健太氏

第3世代までのグルメサービスを説明するRetty CFOの奥田健太氏

奥田氏が発表した数字によると、主要エリア(後ほど武田氏に聞いたが、これは東京での状況だそうだ)での月間口コミ投稿数は「国内最大手グルメサービス(これまた明言しなかったが食べログのことだ)」を超えたという。

また5月にはMAU(月間アクティブユーザー)で1000万人を突破。現在は毎月100万人ペースで増加しているという。「今まではグルメな人にしか向かっていないサービスだったが、ある程度インパクトを与えられるサービスになったということ」(奥田氏)。ちなみに食べログのMAUは6859万人。

東京における月間口コミ投稿数の遷移

東京における月間口コミ投稿数の遷移

 

店舗向けサービスを開始、2020年1億ユーザーを目指す

ここで再び武田氏が登壇。今後の戦略について説明した。今回の発表に合わせてまずロゴを刷新。さらに飲食店データベースをオープン化し、外部パートナーに無償提供していく。また、店舗向けにCRM機能を提供。店舗におすすめの投稿したユーザー(=店舗のファン)とコミュニケーションできる機能や、その友人たちを店舗に集客する機能などを提供するという。すでに数百店舗が導入しており、「ファンとなるユーザーとのやりとりが多々発生している」(武田氏)

また武田氏は「Retty2020 1億人構想」という中期目標を掲げる。2020年をめどに(1)グルメサービスでの国内ナンバーワン、(2)訪日外国人満足度ナンバーワン、(3)グローバル20カ国へのサービス展開——を実現し、2020年にユーザー1億人を目指すという。海外進出に関しては2015年内にアジアに進出し、2016年に5カ国、2017年に10カ国への進出を進めるとした。

「世界40カ国、10億人がサービス対象」と語る武田氏だが、中期目標の達成に向けての詳細な施策については、「海外進出」くらいしか今回の発表会では明確にされなかった。1億ユーザーという数字をどう実現するのかはまだ分からない。だが、明確に競合を意識したこと、また店舗向けのビジネスを発表したことは、Rettyが本気でグルメサービスナンバーワンの座をとりにきた、ということを明確にしたと理解して間違いないだろう。

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TechCrunch Japan

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