RobloxがDiscordと競合するゲーマー向けチャットプラットフォームのGuildedを買収

Roblox(ロブロックス)は、M&Aを利用してそのソーシャル・インフラストラクチャを強化しようとしている。同社は米国時間8月16日朝、対戦型ゲーマー向けチャットプラットフォームを構築しているGuilded(ギルデッド)のチームを買収したことを発表した。

Guildedのサービスは、ゲームチャット大手のDiscord(ディスコード)と競合するものだ。過去に同チームの創設者は、Discordの野望がゲームの世界を超えて成長したため、その中核となる製品は、多くの対戦ゲームのニーズを満たすものではなくなっていると、TechCrunchに語っていた。Discordと同様に、ユーザーはGuildedのプラットフォームで、テキストや音声による会話が可能だが、さらにGuildedでは、イベントやカレンダーを軸にしたコミュニティを組織することができ、トーナメントをシームレスに開催するための機能が豊富に用意されている。

同社の製品は数百ものゲームに対応しており「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)」「Fortnite(フォートナイト)」「CS:GO(カウンターストライク:グローバルオフェンシブ)」、そして「Roblox」など、いくつかのタイトルに特化した機能も備えている。2021年初めには、技術者ではないユーザーがゲームコミュニティを盛り上げるためのボットを構築できるように、ボットAPIの提供も開始された。

Guildedは2017年半ばにY Combinator(Yコンビネータ)から起業したスタートアップで、これまでにベンチャーキャピタルから1020万ドル(約11億1500万円)の資金を調達している。その中には2020年初めにMatrix Partners(マトリクス・パートナーズ)が主導した700万ドル(約7億6500万円)のシリーズAも含まれる。

関連記事:ゲーマーが本当に必要な機能を備えたチャットアプリ開発のGuildedが7.5億円を調達

今回の買収条件については公表されていない。Robloxはこの発表を伝える記事の中で、Guildedチームが今後も独立した製品グループとして運営を続けていくことを明らかにしている。GuildedのEli Brown(エリ・ブラウン)CEOは別のブログ記事で、既存のユーザーはこれまで通り、Guildedを利用できると書いている。

「コミュニティ、パートナー、ボット開発者を含むすべての人が、これまでと同じようにGuildedを使い続けることができます」と、ブラウン氏は書いている。「Robloxは我々のチームとミッションを信用しており、私たちはそのミッションを成し遂げるために独立した製品として運営を続けていきます」。

近年、大きな成功を収めたRobloxは、投資家の注目を集めている。新型コロナウイルスの影響で、以前より多くのゲーマーがオンラインに接続し、より多くのユーザーを獲得しているが、同社の成功は競合他社の注目も集めている。2021年6月には、Facebook(フェイスブック)がCrayta(クレイタ)という小さなRobloxの競合企業を買収した。Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、つい数週間前に、Facebookを「メタバース」企業に変える計画を発表したが、この言葉は多くの人が、Robloxが構築してきたものと結びつけて連想するものだ。Guildedの買収はRobloxにとって、自社の製品群の中でユーザーベースをさらに深め、ユーザーを惹きつけるためのソーシャル・インフラストラクチャを作り上げる好機をもたらすことになるはずだ。

関連記事
Robloxがソニーミュージックと提携、アーティストとメタバースでの収益活動を結びつける
グッチがRobloxとの新パートナーシップで2週間限定の仮想空間とデジタルアイテムを提供
Robloxは開発者向けアクセラレーター講座で同社プラットフォームの新たな可能性を引き出す

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:RobloxGuilded買収チャットツール

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。