Rocket Labは11月にElectronロケットのブースター回収テスト実施へ

ニュージーランド出身のエンジニアが創業者した宇宙企業、Rocket Labは11月に予定されている重要な実験のための準備を整えた。これは衛星打ち上げロケットのブースターの回収を試みるテストで、打ち上げに適したタイミング、いわゆる「ウィンドウ」が開くのは11月16日だ。

実はロケットラブではブースター回収のテストを17回目の打ち上げで実施するとしていた今回の打ち上げは16回目であり1度前倒しされたことになる。同社はスケジュールを速めた理由について簡単な説明を発表した。

Rocket Labが再利用をテストするのはこれが最初ではない。2020年8月にElectronロケットのブースターを回収して再飛行させる計画を発表したとき、同社のファウンダー、CEOのピーター・ベック(Peter Beck)氏は「これは同社の当初の計画に含まれていなかった」と述べた。同社は今年、ブースターの再突入時の誘導・制御システムと降下を減速するためのパラシュート展開のテストに成功している。

公開されたビデオでBeck氏はブースターの回収を図る目的について説明している。簡単に言えば回収、再飛行が実現すれば打ち上げのつどブースターを製造する必要がなくなり、オペレーションを大幅に合理化することができるからだ。当初の計画にブースター再利用が含まれていなかった理由は、SpaceXのFalcon 9やBlue OriginのNew Shepardと比較してElectronはずっと小型であり、ロケット噴射によって回収するための燃料を積む余地がないと考えられていたためだった。

しかしBeck氏のチームは独創的な回収方法を考案した。これは小型のドローグシュート(抽出傘)ととメインパラシュートを組み合わせることによってブースターを減速し、ヘリコプターによって空中で吊り上げるという方法だった。今回計画されている回収テストはヘリコプターによる吊り上げのステップは含まれていない。パラシュートで減速させて洋上に着水させて回収することを狙っている。

Beck氏によれば、ヘリコプターによる吊り上げについてはあまり心配していないという。ステップは同社が既にテストを行って成功しているためだ。重要な部分はペイロードを軌道に乗せることに成功した後でブースターの回収段階に進めるかどうかだ。

Rocket Labが今回のテストでブースターを回収することができれば、Electronにブースター回収システムを装備することが十分可能となる。これにより打ち上げの間隔を大幅に短縮することが可能になる。将来的には打ち上げコストの削減も期待できる。

われわれはテストの結果について詳しく報道する。Beck氏は衛星ビジネスをテーマとするTechCrunchの新しいセッション、TC Sessions: Spaceにバーチャルで登場しRocket Labについてプレゼンする予定だ。

画像: Rocket Lab

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滑川海彦@Facebook