RØDECaster Proは、ホームポッドキャスティングスタジオの中心的存在だ

この599ドルのサウンドミキサー/レコーダーは、初心者がステップアップするのに最適だ

私のポッドキャスティング機材はシンプルだ:2本のマイク、Tascamレコーダー、2本のXLRケーブル。昨年私は、少々アップグレードを行った。マイクを良いものにし、マイク用の風よけと、1対の折り畳み型卓上マイクスタンドを購入した。しかし、選択基準は常に同じだ。ラップトップ用のカバンに入らないものは採用しない。

この5年間ポッドキャストを行ってきた私にとって、それらはとても役立ってきた。友人たちが防音スタジオを自宅に作っている一方で、私は持ち運びできる機材で行動していた。もし誰かにポッドキャストへの出演を頼みたいなら、こちらから相手のところへ出向く方が遥かに簡単だ。

以下の写真は、ナイジェリアのラゴスの、私が泊まっていたホテルの部屋で次回のエピソードを録音した直後の、コメディアンHannibal Buressだ。ここに見えているのが私の機材である。それらは、小輝の小さなコーヒーテーブルの上に載せられた、私のキャスター付きスーツケースの上に置かれている。臨機応変は大切だ。

もちろん、トレードオフはある。特に音の問題は重要だ。マイク自体はかなり明瞭な音質だが、周囲の騒音が問題だ。私はカフェ、バー、そしてレストランで、多くの録音をこなしてきた。それが魅力の一部だと自分自身に言い聞かせてながら。そしてもちろん、Tascamレコーダーだけでは、サウンドミキサーを使ったときのような洗練されたコントロールを手に入れることはできない。

おそらく、私はいつもホームスタジオがどのようなものであればよいかを、心の中で密かに空想していたのだろう。もちろんコストは常に問題だった。こうしたものはみるみる価格が嵩むものだ。また、参入障壁は不必要なほど複雑だ。一握りの企業が、ますます収益を上げている非職業ポッドキャストの世界から利益を得ようとしているのだ。Blueは、かなり魅力的なUSBベースの機材を、いくつか製造してきた。だが、同じ部屋に複数のゲストがいるときに録音をしたい場合には、事態は遥かに困難なものになる。

私はRØDECaster Proを試せる機会に飛びついた。それの外見からして、それはちょうどホームポッドキャスターたちにとって、痒いところに手が届く、理想的な商品に思えたからだ。本製品は、基本的には、自己完結型のプロダクション機能を備えた、6チャンネルのサウンドミキサー/レコーダーである。全てを単一トラックに録音して、自分のポッドキャストサーバーに直接アップロードできるようにする。

これには、ライブミキシングから、音楽やサウンドエフェクトのトリガーに使用できる、8つのサウンドパッドまでの全てが含まれている。さらに素晴らしいことに、有線またはブルートゥースを利用してスマートフォンを接続することによって、遠隔にいる人を参加させることもできる。

これは本当に愛らしいハードウェアだ。私は使用中にそれを何人かの仲間に見せたが、プロフェッショナルなつまみから、色をカスタマイズできる明るく輝くサウンドパッドまで。誰もがその外見に感心した。

ミキサーの上部には小さなタッチスクリーンディスプレイがあり、これはレベルを表示したり、さまざまな設定をナビゲートする手段として利用できる。また基本的に、セットアッププロセスが終了したら、コンピュータを完全にバイパスするための手段として利用できる。RØDECaster Proは、anchor.fmの製品の多くと同じ原理で動作し、ユーザーに対してポッドキャストを最小限の労力で実現する手段を提供する。

これは、コンテンツの提供が誰でも可能になることが理想とされるポッドキャスティングの世界では、特に称賛されるべきゴールだ。そして、ミキシングボードがあるかぎり、セットアップに苦労することはない。立ち上げて動作させるためには、多少の微調整とトラブルシューティングが必要だったが、1〜2時間以内に、すべてが完璧にセットアップされて動作し始めた。

ただし、こうしたレベルの単純さの欠点は、プロセスの重要な部分のいくつかを微調整する機能が削除されてしまうことだ。もっとも明らかな欠点はマルチトラックレコーディングができないことだ。もちろん、マイクで4人、さらに電話で5人目を録音することは可能だが、それらは全て同じトラックに録音される。もし素早く雑なものを得たいときには、それでも構わないが(当然ながらそうするポッドキャスターもいる)、私は編集を行う。

もしプロフェッショナル的な内容に仕立てたいならば、内容をカットしたいと思うだろう。ポッドキャストがしばしば1時間以上に及ぶことがあるとしても、私はAudacityを使って実際に行った録音を切り詰めることに長い時間をかけているのだ。それはうんざりするような作業だが、まずまずの仕上がりを狙いたいなら、それを行う必要がある。

内容そのものを編集しないとしても、少なくとも「えー」とか「あー」とか、発言が重なってしまっているところはカットする必要がある。これは、マルチトラックを使っているときには、はるかに簡単な作業だ。皆がそのように感じているわけではないことは理解しているものの、そのオプションがあれば良いと思っている。

この製品の場合、セットアップの大部分は、箱から出してケーブルを接続することだけだ。RØDEは、巨大なバックパックに詰め込まれたデラックスエディションを送ってきた。そこには1対のPodcasterマイクと、大きくて重いマイクスタンドも含まれていた。もし日時を設定したり、携帯電話とペアリングしたりといった細々したことを行いたければ、スクリーンを通してある程度の操作を行う必要がある。

私はサウンドをカスタマイズするために、セットアップ中に自分のラップトップにミキサーを接続した。デフォルトでは拍手、笑い声、リムショットなどが事前にロードされている。これはMorning Zoo Crewパッケージである。私はイントロとエンディングの曲と、いくつかの効果音をおまけに投入した(当然レゲエホーンシンプソンズのネルソンは入れた)。

合計512MBのストレージがあるので、より長時間のトラックを追加して、デスクトップアプリを使い、それらを対応するパッドにドロップして関連付けることもできる。レベルを確認し、録音のためのmicroSDカードをセットすれば、さあレースの始まりだ。

ところで、携帯電話の音声をミキサーに入力するときなどに少々手間取ったことは告白しておきたい。また、全員に自分自身の声と効果音を聞かせたい場合には、後部ヘッドフォンジャック用のアダプタが必要である。初心者をターゲットにしていることを考えると、これは奇妙なことに思える。特に前面のジャックが標準サイズであることを思うとなおさらである。

私たちのOriginal Contentは、毎週金曜日にエピソードの録音を行っているので、この製品のテストを行うには完璧なタイミングだった。Anthonyと私はお互いにテーブルを挟んでマイクを設置した、そしてJordanには電話で参加して貰った。

録音ボタンを押し、イントロミュージックを流せば、もう始まりだった。やや厄介だったことは、ボタンは音を始めることができるだけで、それを終わらすことはできなかったことだ。なので、それは(誓って、皮肉なコメディ効果のためだけに使う)エアホーンのようなものには適しているが、音楽のためにはあまり向いていない。必要な長さまで音楽をカットしたくなるだろう。そうでなければボリュームを下げなければならず、結果的に音楽が終わるまでそのチャンネルを失ってしまうことになる。それぞれのトラックにどれくらいの時間が残っているかを見ることができるのは便利だったが、必須という程のものではない。

一旦起動して動作した後は、録音中に特に問題には遭遇しなかった(少々効果音を使い過ぎたかもしれないが)。録音を終えて、SDカードを取り出し、ファイルを転送した。ジャーン。ポッドキャストの出来上がりだ。

RØDEのマイクの音質は本当に素晴らしいものだ。スタジオ品質のものとして合格点を出せるレベルだ。エピソードは数日で上がるので、その音質については読者自身で判断して欲しい(訳注:既にこちらにアップロードされている)。Jordanの電話接続からの音は素晴らしいものではないが、携帯電話の貧弱な通話状況をRØDEの責任にすることはできない。

RØDECaster Proは、その外箱に書かれていることを忠実に実行するし、そのほとんどの動作も素晴らしいものだ。ラジオ時代にミキサーを操作したものとして、私はほぼすぐに昔の調子を取り戻すことができた。この長い期間の間に、私がどれほどこの操作を楽しんでいたのかを、忘れてしまっていたのだ。そして、実際にフェイスツーフェイスでショーを行うことができる機能は、Skypeに追いやられたときには失われてしまうレベルのエネルギーと理解をもたらす。

さて、ミキサー/レコーダー単体で600ドルという価格は、多くの初心者ポッドキャスターたちには、お話にならない位高価なものだろう。しかし、真剣にポッドキャスティングへの道を歩み始めようと思っている少数の人にとっては、これはまさにスイートスポットを直撃し、ボタンを押すだけでゲームを始めることのできる製品なのだ。

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(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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