Salesforce Ventures初のハードウェア投資先はエンタープライズドローンのKespry

業務用のユーザーにサブスクリプション方式でドローンサービスを提供しているKespryは米国時間3月27日、Salesforce Venturesからの資金調達を発表した。それは、Salesforceのベンチャー部門としては初めてのハードウェア方面への投資だ。これによりSalesforceとKespryとのパートナーシップが実現し、前者の保険業界向けツールに後者のドローンサービスが統合されることになった。資金の調達額は公表されていないが、Salesforce Venturesのそのほかの投資に比べて相当大きいと思われる。

2013年に創業されたKespryは、主に鉱業や骨材業界(砂利、砕石など)に強く、ドローンで撮影した画像から採掘容積を求める。その他に同社は、最近では建設や保険、エネルギー部門にも顧客を広げている。

CEOのGeorge Mathew氏によると、Kespryの現在の顧客は300社あまりで内200社以上が鉱業と骨材業界、そして40社以上が過去1年以内の新規登録ユーザーだ。

今は、ドローンも人気の盛りを過ぎたかもしれないが、同社のように初期にニッチ市場を見つけた企業は好調だ。CEOはこう言う。「今では活用範囲が広がっているからドローンビジネスは活気があり、また変化も激しい。うちはもっぱら商用利用に目をつけてきたから、産業界の非常に難しい課題にも対応できる。しかしドローンで大規模で有効なビジネスモデルを見つけるのは容易じゃないから、問題を抱えているドローン企業もある」。

彼によるとKespryが好調な主な理由は、そのサブスクリプションモデルと顧客にエンドツーエンドのハードウェアとソフトウェアのソリューションを提供していることだ。

Salesforceからの投資は、ある業界イベントでCEOのMarc Benioff氏にたまたま会ったことがきっかけだ。Salesforceは保険業界向けの業種特定型アプリケーションを目指していたから、当然そこにはKespryの役割もあった。「大きな災害などのあとには保険会社への支払い請求がどっと押し寄せる。すると保険会社は、大量の土地や建物の被害の査定を短期間でしなければならない。明らかにそれは、ドローンの出番であり、その需要は今きわめて多い」とMathew氏は言う。そんな場合Salesforceのツールを使って査定官を現場に送り込むが、彼ら請求査定官は今度はKespryのサービスを利用してドローンを飛ばし、家の屋根がどれぐらい壊れているかなどを調べる。

KespryはSaleforceとのパートナーシップの一環として後者のPledge 1%プログラムに登録している。それは、社員の全労働時間の1%を企業の社会的責任とチャリティ努力に投ずるという企画だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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