Sansanが請求書をオンライン受領・管理できる「Bill One」を中小規模事業者に無料提供開始

Sansanの寺田親弘CEO

クラウド名刺管理サービスなどを提供するSansanは5月27日、請求書をオンラインで受領して管理できるサービス「Bill One」を、従業員数が100人以下の中小規模事業者に対して無料で提供するプランを始めた。従来、基本プランで月10万円ほどの費用が必要だったが、基本無料で利用できるようになる。同社は国内の中小規模事業者にBill Oneを通して、請求書業務のDX化を促していく。

Sansanの寺田親弘CEOは27日に開いた会見で「もちろん無料提供は慈善事業ではなく、ビジネスとしての狙いがあります。Bill Oneを通して、アナログ・デジタルを問わず、オンライン上で請求書のやり取りができるネットワークを作っていきたいと考えています。国内企業の99.7%を占める中小規模の事業者に使っていただくことで、Bill Oneはより浸透していくはずです」と語った。

Sansanは今後1年間でBill One無料プランの導入企業5000社を目指す。

クラウド請求書受領サービス「Bill One」

2020年5月から提供を始めたBill Oneは、請求書業務をDX化するクラウド請求書受領サービスだ。郵送で届く紙の請求書やメールで送付されるPDFの請求書など、請求書の宛先をBill Oneに変えるだけで、さまざまな方法・形式で送られる請求書をオンラインでまとめて受け取ることができるようになる。

Bill Oneでは、企業が受け取る紙の請求書は専門のセンターが代理で受領する。同社の名刺データ化技術を基にした独自システムでデータ化してクラウドにアップロード。PDFの場合はそのままBill Oneのシステムで受け取ることになる。これにより企業は取り扱うすべての請求書を、紙やPDFなどの形式に関係なく、クラウド上で受け取って一元管理ができるようになるのだ。

また、データで請求書情報を受け取ることで、支払業務もデジタル化できる。Bill One上で承認のデジタルハンコを捺印できる上、支払依頼に必要な関連データやコメント・メモも、請求書情報に貼り付けることが可能になり、請求書業務ためだけに出社するといった問題も軽減できる。

さらにBill Oneを利用することで、請求書のデータベースも構築されていく。請求書は企業間の取引情報であり、仕入れ先などの情報を営業部に共有することで、営業活動にその情報を活用できるようになる。営業の新たなチャンスを生むことに繋がる。

Bill Oneを無料で使える「スモールビジネスプラン」

今回のスモールビジネスプランは、請求書のスキャン代行やデータ化、オンライン管理などBill Oneの基本機能を、従業員規模が100人以下の中小規模事業者を対象に、初期費用、月額費用を無料で提供するプランとなる。

同社の調査によると、企業が1カ月に受け取る請求書の枚数は平均96.1枚だという。このため、同プランで受け取れる請求書の枚数は月100件までとした。また、Bill One上で過去にオンライン受領した請求書の閲覧枚数は、500件までとなる。制限をなくしたい場合などは、有料プランへの変更が必要だ。

寺田氏は「Bill Oneは単なるソフトウェアでなく、人的なコストもかかるサービスであり、無料で公開することに相応のリスクはあります。この判断を後押ししたのは『ビジネスインフラになる』という我われが掲げるミッションです。日本のDXを支えるビジネスインフラになっていくための、大きな一手として進めていきたい」と意気込んだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Sansan日本DX請求書

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TechCrunch Japan

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