SnapがARグラス「Spectacles」の新世代バージョンを発表

Snap(スナップ)が、事前録画されたPartner Summit(パートナーサミット)で、Snapchat(スナップチャット)のユーザー、クリエイター、企業向けの新しいツールをひと通り紹介した。そのプレゼンテーションの最後にSnapは「もう1つ」という言葉を投げかけて、数年前に手痛いスタートを味わった同社が、ハードウェアの野望をまだ諦めていないことを示した。

Snapが発表したのは最新世代のSpectacles(スペクタクルス)グラスだ。60年代風味の黒を基調とした最新式デザインで、これは同社がこれまでに開発してきた拡張現実技術(AR)の一部を、それに合う特定のデバイスに融合させる、これまでで最大の試みとなる。

Snapの共同創業者でCEOのEvan Spiegel(エバン・スピーゲル)氏は、Spectaclesのことを「拡張現実を生活にもたらす初のグラス(メガネ)」と表現している。もし以前のバージョンのグラスを所有したり試したりしたことがあるなら、今回のグラスはより直感的でシームレスなものになっているように思える。

第4世代のこのグラスは、一度の充電で30分間動作することができると彼はいう。デュアル3D導波路ディスプレイを搭載し、視野角は26.3度で「目の前の世界に自然に重なっているように感じる」没入感のあるレンズ体験を実現している。屋内外で使用できるようにディスプレイは明るいものとなっており、マイク、ステレオスピーカー、タッチパッドを内蔵している。また、134gと比較的軽量だ。

Snapはこのデバイスを、これまで同社のハードウェアがターゲットとしていたコンシューマー向けではなく、Snapプラットフォームを利用するクリエイター向けにマーケティングしていくようだ。今回のSnapのリリースは、その基礎となる技術がまだ大量に市場投入できる状態ではないにもかかわらず、公開してしまうという、他社も採用している戦略に沿ったものだ。

ハードウェア自体の性能は、先行したMagic Leap(マジックリープ)のようなARスタートアップがリリースしたものよりは劣るものの、Snapは機能性を犠牲にしてフォームファクターを追求し、他のARヘッドセットに比べて、ヘルメットのような外観が抑えられたデバイスの提供を選択したようだ。

スピーゲル氏によると、このグラスには同社の新しい空間エンジンが搭載されており「6つの自由度、ハンドトラッキング、サーフェストラッキングを活用し、デジタルオブジェクトを物理的な世界にリアルに置く」とのことで、より高い応答性を実現するために、動作から視覚への遅延は15ミリ秒になっているそうだ。また、このグラスはSnapのLens Studio(レンズスタジオ)と統合されており、クリエイターはこのデバイス用のカスタムレンズを作ることができる。すでに一部のアーリーユーザーにグラスは提供されているので、やがてさまざまなレンズやその他のカスタマイズが、あらかじめ組み込まれた状態で出荷されることになるだろう。

Snapは、拡張現実を大きなチャンスと捉えてきたが、巨大な競合他社の規模に比べると、この分野ではまだ劣勢だ。

今回のAR対応Spectaclesは、Facebook(フェイスブック)がRay Ban(レイバン)と提携して製造を予定しているスマートグラスに先駆けて登場する。そちらのグラスにはディスプレイは内蔵されず、他の入力手段に大きく依存することが予想されている。また、Appleも以前から拡張現実グラスの開発に取り組んでいると噂されており、何千人もの従業員がその製造に携わっていると伝えられている。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:Snap拡張現実ARグラス

画像クレジット:Snap

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(文:Ingrid Lunden, Lucas Matney、翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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