Snapchat、第一四半期のユーザー数の伸びは過去最低—株価は15%ダウン

Snapchatの2018年第一四半期(1〜3月期)決算はまったく芳しいものではなかった。デザインの試行錯誤やFacebookとの競争を展開する中で、前四半期からの復活はならなかったようだ。1日あたりの平均利用者数は1億9100万人に達し、前期の1億8700万人より増えたものの、成長率は2.13%に落ち込んだ。これは、2017年第四四半期の5.05%、最悪だった同年第三四半期の2.9%に比べても、最も低い成長率だ。一株当たりの損失は0.17ドルで、収益は2億3070万ドルだった。市場は一株当たり損失を0.16ドル、収益を2億4450万ドルと予測していた。

前四半期に北米マーケットでユーザー数を100万人増やして急激に成長したのは、どうやらまぐれだったようだ。実際は見かけ以上に厳しい状況にある。CEOのEvan Spiegel氏が前もってしたためていた意見では、「四半期の平均利用者数は1億9100万人だった。3月の平均ユーザー数は低かったが、第四四半期の平均は上回っている」としている。Snapchatの利用者数が落ち込んでいるというのは、投資家の心理を冷やすものだ。

Snapchatのクローン的存在であるInstagram Storiesの1日平均利用者数は3億人、WhatsApp Statusは4億5000万人。Snapchatが抱える問題は大きなものになりつつある。市場はSnapchatのユーザー数の成長が弱かったことを嫌忌し、Snapの株価は時間外取引で12ドルと15%も下げた。

一方で、Snapの損失額は前四半期の3億5000万ドルから3億8570万ドルへと膨らんだ。経費削減のために一時解雇したのはまさにこの損失額をなんとかしようとしたものだったが、これはあまりにも遅く、また対策としても不十分なものだった。COOのImran Khan氏は「前年同期比の収入成長率を考えるとき、第二四半期での成長率は第一四半期のものより落ち込むことが予想される」としている。これも投資家の心理を悪化させている要因だ。

今回の決算発表の中で数少ない明るい話題の一つが、事業所やクリエイター向けのSnap Proの展開だ。これは有名人や事業所のためのものだ。Khan氏は「このSnap Proではプロフィールの管理やコンテンツの作成・公開、反応の分析が簡単になる。結果として広告獲得につながる」としている。しかしこのSnap Proは展開してまだ日が浅い。

Snapはまた、北米におけるユーザー1人あたりの平均収入で前代未聞の減少にも直面した。第四四半期というのはクリスマスなどの休暇時期を抱えるため、通常は第一四半期に比べ書き入れ時だ。しかしSnapの北米でのASRPU(1契約あたりの売上値)は、第四四半期の2.75ドルから2.1ドルへとあまりに大きく落ち込んだ。第三四半期の2.17ドルからも減少している。これは第一四半期で広告閲覧減少による収入の確保が厳しくなっているという深刻な問題を意味している。

Spiegel氏は「デザインの変更によりユーザーを戸惑わせることになってしまい、また広告主にも懸念を抱かせることになり、これが今四半期の収入では向かい風となってしまった」と認めている。だからこそ、Snapchatは、StoriesをDiscoverページの中に押し込むといった大きなデザイン変更を展開している。しかし、残念ながらこの変更はオリジナルより良くないようだ。私が思うに、Snapに必要なのは日付順にメッセージを並べたり、表示されている友達に関連するStoriesを表示したりするタブであり、Discoverセクションにプロ向けコンテンツをもってくることなどだろう。

Snapchatは第一四半期、アプリのデザインを徹底的に見直す一方で、FacebookがCambridge Analyticaスキャンダルに見舞われている間に収益を上げようとした。当初のApp storeのレビューはかなりネガティブなものだったが、初インストール数とApp storeでのランクは上昇した。セレブのSnapchat離れや一部での使用減はデザイン変更に踏み切らせ、その変更には古いバージョンへの回帰もあったようだ

Snapは先日、カメラ付きサングラスSpectaclesの2代目をリリースした。これが収入につながるかは、次の四半期で明らかになる。問題は、120人超の一時解雇による悪影響が今後出るかどうかだろう。

Spiegel氏は、クリエイターを他のユーザーと分けることで、クリエイターにとってSnapchatがコンテンツを展開するのにお気に入りの場所となるよう、閲覧環境を整えることができるとしている。しかし、クリエイターのDiscoverページを改善したとしても、InstagramやWhatsAppに対抗するのは難しい。CFOのDrew Volero氏は「Snapの収益をトントンにもっていきたいが、いつ達成できるかは描けていない」としている。四半期で収入を3億8500万ドル増やすのは、ユーザー数が激増でもしない限りかなり難しい。ましてや、一時解雇で社員も減っているという現状がある。

年初に書いたように、欧米の若者の間でSnapchatは人気があることを考えると、Snapchatが一晩でなくなるとは考えにくい。しかし、Snapchatがなくなることは現実味を増していて、この業界を牛耳ることなく世界に影響を与えたサービスだった、ということになりかねない。

正直、Snapの経営はかなり厳しい状況にある。成長率は今までで一番低く、ユーザーあたりの収入は減少し、会社の存続をゆらがしかねないほど損失は膨れている。仮にユーザーが徐々に新デザインに馴染むとしても、その時までにInstagramやWhatsAppがSnapの世界展開のチャンスの多くを吸い取ってしまうだろう。また、本格的なARメガネはまだ先の話ということでSpectaclesが売れたとしても、Snapが社の存亡危機を回避できるかはまったく予断を許さない。

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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