Sonos Moveはオールマイティなポータブルスピーカー

Sonosは、同社初のバッテリーをビルトインしたポータブルスピーカーをリリースした。 399ドル(約4万3000円)のSonos Moveは9月24日から出荷が始まる。Moveを数日使ってみて、僕は自信を持って言う。MoveにはSonosのワイヤレスオーディオシステムの素晴らしさすべてが備わっていて、さらには自由に家の中を持ち運べ、ドライブにも持っていけるというアドバンテージも加わった。

サイズと音質

Sonos Moveは小さなスピーカーではない。重さは約3kg、高さ約25×幅16×奥行きは13cm弱だ。おそらくSonos Oneほどのサイズだろうと想像しているなら実物を見て驚くだろう。というのも、下の写真を見てもらえばわかるが、Sonos Oneよりもだいぶ大きい。

またSonos Moveは、バッテリーが大きくなってエクステリアが新たな外観になったSonos Oneというものでもない。内部においてもまったく新しいデザインになっているとSonosは教えてくれた。SonosはMoveが違うスピーカーになるようデザインに手を加えた。というのも、Moveは屋外を含めあらゆる環境での使用を想定していて、Oneとは使用方法が異なるからだ。

その結果、周囲の騒音と競うことになることが予想されるものの、低音がより深くなるなどMoveはOneよりも少し音が大きくなった。サウンドプロファイルは下の方に向いているツイーターにも頼っている。ツイーターはMoveが幅広いサウンドステージをつくりだすのに使われている。実際には、例えばピクニックやキャンプファイヤーのような、人が散らばっている状況であらゆる方向に音を流すのに活躍する。

屋内外でSonos MoveはあらゆるSonosデバイスに期待される高品質のサウンドを提供する。そしてWi-Fi、Bluetoothのどちらのモードでもほぼ同じように素晴らしく僕の耳には聞こえるが、質においてはWi-Fiのほうが少しだけ分がいいようだ。もし真にステレオサウンドを楽しみたいのなら、Move2台をペアリングできる。ただ、僕はレビュー用のMove1台しか持っていなかったので、Move2台をペアリングしての音を試すことはできなかった。

ワイヤレス、そして防塵・防水性能

Moveの特徴はあちこちに運んでバッテリーで作動することだ。それゆえに2つの接続モードを利用できるようになっている。ユーザーはスタンダードのSonos Wi-Fiスピーカーとして使うことができる。Sonosアカウントに接続させると、同社がこれまでに手がけた他のスピーカーと同じように、SonosアプリにMoveが現れ、そこでグループにしたりコントロールしたりできる。

Bluetoothモードでは、他のBluetoothスピーカーと同じようにペアリングする。背面にあるボタンでモードを切り替えできる。そしてBluetoothに初めてスイッチを入れる時、Moveは自動的にペアリングモードになるのでスマホにつなげるのはかなり簡単だ。僕はものの数分でBluetoothのセットアップができた。

便利なハンドルは、Moveの背面に位置し、ペアリングや電源、Sonosシステムコネクトのボタンの上にくる。デザインで最も特徴のある点の1つで、エクステリアの一部であることから耐久性においては丈夫に違いない。全体的にMoveはかなり頑丈につくられているようで、倒しても衝撃を吸収し、少し雨に降られても防水になっているとSonosは宣伝している。

BluetoothモードではAlexaやGoogleアシスタントは利用できない。たとえ、そうした音声アシスタントをホームシステムと連動するようMove上で設定してもだ。他のSonosとステレオペアリングしてもだめで、マルチルームコントロールのためのSonosアプリにも出てこない。しかし自宅では、家の中あるいは裏庭で持ち歩くときにはWi-Fiを使えばいい。そうれすれば音声アシスタントを利用できる。家を離れて使用する場合は、どうせワイヤレススピーカーとしてベーシックな機能を使うだけだろうから、Bluetoothモードで音声アシスタント機能にアクセスできないというのは大した問題ではない。

僕がこのスピーカーをテストしている間、ワイヤレス接続はWi-Fi、Bluetoothどちらのモードでも安定していて、途切れることはなかった。スピーカーとしてのSonosは別にしても、僕がこれまで試した防塵・防水・耐衝撃のBluetoothスピーカーでこの価格帯のものとしては最高の音質だ。

音声アシスタントとAuto Trueplay

Sonos Moveには、Sonos BeamやSonos Oneで利用できるヴァーチャルアシスタントのAmazon AlexaやGoogleアシスタントのサポートもある。ビルトインの遠方マイクが音声コマンドをよく拾い、もし他のSonosハードウェアでこれらのアシスタント機能を使ったことがあるなら、Moveでもまったく同じ使用体験となる。もちろん上で述べた通り、BluetoothではなくWi-Fiでだ。

マイクを使ってSonosはSonos Moveに新たな仕掛けもしている。 Auto Trueplayだ。これは他のSonosスピーカーにもあるTrueplayサウンドのチューニング機能の自動バージョンだ。通常はサウンドを評価するにはスマホのマイクを使ってマニュアル操作で行う必要がある。だがSonos Moveは搭載のマイクを使って自動で調整する。しかも常時チューニングを行い、部屋から部屋へ、あるいは外へ移動するたびに空間に合わせたサウンドプロファイルにする。

実際の使用では、そのチューニング効果はかすかなものだが、それは時間とともに音が調整されるからに違いない。しかしこのチューニング機能が紛れもなく大きな違いを生み出していることに僕は気づいた。それは、すでに聴いた曲を、Moveの置き場所を変えて再び聴いたときだった。私は最初の再生からしばらく(1時間かそこら)してから曲を再度聴いたのだが、2回目のときのサウンドでこの機能の明らかなメリットを実感した。

充電とバッテリー

初となるバッテリー駆動のスピーカーのすべてにおいて、Sonosは素晴らしい仕事をした。同社によると、ビルトインの電源では10時間連続で音楽を再生でき、私のテストでは実際にはそれよりも長く再生できた。しかしもちろん、接続の種類やどれくらいの音量で音楽を流すのかによってもこの再生時間は異なるだろう。

充電はふたとおりの方法がある。Sonosネットワークスピーカー、そしてポータブルオーディオデバイスというMoveの2つの特性を考えたときに、このふたとおりの充電方法は歓迎すべきことだろう。Moveの箱には、写真上のような充電ベースが入ってくる。Moveの後ろ側にある接続ポイントを経由して給電を行う金属のコンタクトが付いている。このベースはMoveを最も頻繁に使うホーム的な場所に置くとよさそうだ。

それからMove側のベース部分にある充電コンタクトの上には標準のUSB-Cポートがある。これは、Moveを車の中で使用するときや、あるいは単に屋外で使用する場合でコンセントが近くにあって充電ベースを移動させたくないときに最適だ。ユーザー側でなんら特別なものを用意しなくてもMoveのスマートなデザインが2役を兼ねるという格好の例となっている。Sonosのラインアップでの位置付け

Sonos MoveはSonosのラインアップにある他のスピーカーとは異なる。その他のスピーカーとうまく連携させられるが、連携は完全ではない。例えば、Moveはリアサテライトスピーカーにはならないし、Sonos Subとペアリングすることもできない。これらは他のスピーカーではできることだ。Sonosによると、これはMoveが持ち歩くことを前提にデザインされているからとのこと。動かすので、ホームシアターのような据え置かれたものに結びつけるのは意味をなさない。

つまり、Moveはすでに持っているSonosネットワークに追加するものとしても、あるいは初のSonosデバイスとしてもいい選択肢となる。Sonosネットワークへの追加という点では、壁に穴を開けたり、あるいは業者を呼んだりしなくてもパティオにスピーカーを設置する最適の方法だ。初のSonosデバイスとしては、家の中で動かせて、音を自動調整し、ドライブやビーチに繰り出す時には車に積み込めるという、オールマイティの素晴らしいワイヤレススピーカーだ。まとめ

399ドルという価格をみると、Sonos Moveは間違いなく他のBluetoothやワイヤレスホームスマートスピーカーよりも高価だ。しかし、フル充電で1日中バッテリーで作動すること、どこで使おうともベストなサウンドに調整する賢さを備えていること、もし今後スピーカーのセットアップを拡大しようと考えているなら他のSonosデバイスと連携させられることを考えた時、この価格は経済性のある設定に思え始める。特に、AppleのHomePodのような、似たような価格で機能は半分というものと比較した時にはそうだろう。

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(翻訳:Mizoguchi)