SpaceXの採用面接で試されるのは優れたイノベーション精神

米空軍主催の空中戦に関するシンポジウムであるAir Warfare Symposiumで、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は新旧さまざまな話題に触れたが、特に人びとの関心を集めたのは、SpaceXにおける雇用と解雇のやり方だ。そこは、世界で最も技術者に対する要求レベルが高いエンジニアリング企業といわれている。

同社はイノベーションを誇りとし、その最高経営責任者は面接でも最高レベルのイノベーション精神を求める。

「面接ではイノベーションといった優れた能力のエビデンスを問うことが多いけど、我々は面接で、新しい技術を創造したいと思っている人を選ぶ」とマスク氏はいう。

この気まぐれなCEOは、面接における応募者のイノベーション志向の有無をどこで見分けるのか、応募者の前歴の何に着目するのかなど、詳しいことは述べなかったが、しかしイノベーションは、同社の雇用過程における重要な要素だ。

マスク氏によると、イノベーションの強調は同社のボーナスの構造や昇進の決定、そして究極的には彼/彼女の勤務年限にも影響が及ぶ。

「ボーナスはイノベーションへのご褒美だが、失敗を恐れてイノベーションをトライしない者にはペナルティをとられる。つまり解雇される」とマスク氏は語る。

イノベーションをし損なうことだけではなく「その社員のイノベーション志向がとても良質なものでなかったら、同じく会社を追われる」のだそうだ。

イノベーションの重要視は、企業と国家にとって競争に勝ち抜くために大切なことだ。マスク氏によると、テスラでもSpaceXでも知財を盗むことに対してはいちいち気にしない。どの企業も、3年以上先の技術開発で競争の先頭に立つことを望んでいるからだ。

さらにマスク氏は「知財の保護を実現する方法は、迅速にイノベーションを起こすことだ。イノベーションのスピードがすべてを決める。チームにはいつもそう言っている。重要なのは、毎年イノベーションを起こすことだ」という。

IBMのような、巨大なパテントポートフォリオと、研究所に何千ものイノベーションを抱えているところは異論を唱えるかもしれない。しかしマスクの論点は企業に限定されるものではなく、国民国家にも当てはまる。

マスク氏が具体的に言及したのは、アメリカが中国と互角に競争できるために必要なイノベーションだ。中国は数年以内に、アメリカの2倍から3倍の経済規模になるかもしれない。

マスク氏曰く「戦争の基盤は経済だ。相手の半分しかリソースがなければ、イノベーションに励まないかぎり負ける。アメリカは、軍事的にも二番手になるだろう」

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。