SpaceXの衛星星座Starlinkは1000基あまりの通信衛星を超低軌道で運用する

同社がFCCに提出した申請書類によると、SpaceXが計画している通信衛星コンステレーションStarlinkは、最初の計画よりもずっと低い軌道に、少なくとも1000あまりの衛星を配備する。これによって宇宙ゴミが減り、同社の地上ユーザーに高品質な信号を提供できる。

Starlinkが計画している1584基の衛星は、同社が計画している4409基の約1/3に相当する。軌道は地表からわずか550キロメートルの高さで、多くの通信衛星はその倍以上の高さの軌道を回っている。静止衛星の軌道は、その20倍以上の約58000キロメートルだ。

この距離なら、軌道縮小も速く、数年後には大気圏に落下して燃え尽きる。しかしSpaceXは泰然としている。それどころか申請書類には、低軌道には“正常運用時と、そして万一の異常時でさえ、いくつかの魅力的な特長がある”、と書かれている。

まず第一に、低軌道では何でも地球に速く落ちて軌道上に散らからないから、宇宙ゴミの問題がほとんどない。第二に、信号の送受の所要時間が短くて、pingの時間は15ミリ秒程度だ。そして500キロメートル以下ならビーム通信の拡散も少ない。

一方、大気抵抗が大きいから最適高度を維持するためにいろんなことをしなければならない。一つの衛星の、惑星上のサービス範囲が狭い。でも数が多いから、その問題は回避できる。

今回の決定は、同社が今年初めに打ち上げたテスト衛星“Tintin”からの実験データに基づいている。“SpaceXが学習したことにより、上述の、よく知られていて有意義な利点を獲得しつつ低高度で運用することの不利を軽減できる”、と同社は書いている。

この変更は、衛星通信がさらに広く普及したときに競争上の有利になると思われるが、Starlinkの鳥たちがどんどん落ちてくるようになると、維持管理費が高くなるだろう。低軌道は確かにリーチが容易だが、売上が損益分岐点に達するのはそれほど容易ではないだろうな。

Starlinkの最初の本番稼働は来年初頭を予定しているが、そのタイムラインもやはり、ちょっと無理かもしれない。でもSpaceXは、無理に挑戦する企業だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。